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神々の語り部  作者: 黒奇
8/10

8. 湧き水とビーチコーミング

リアルが忙しく、しばらく更新をサボってしまってました。け、決してスパ〇ボに熱中していたわけじゃ(爆

引き続き、不定期ですが更新していきます。

 

 神津島 多幸湾 三浦港


 不意にゴツめのバイクにタンデムさせられて約10分。

 目的地・・・・島の東側、多幸湾の船舶待合所駐車場に辿り着く頃には、僕のメンタルは洗濯機にかけられたTシャツののごとくヨレヨレになっていた。ひじょーーーに長く感じた10分だった・・・・。

 精神的に疲弊してうずくまっている僕を尻目に、賢治は大平夫婦と笑いながら話をしていた。


「じいちゃんばあちゃん、ありがとう!助かったよ!」

「なぁ〜に、お安い御用よぉ。水汲んだら、帰りも送っていこうかい?」


 賢治はうずくまっている僕をチラッと見やると


「あ~~・・・・ん~ん、いいや。帰りはバスの時間まで待つよ。少し遊んでいきたいし!」

「あらそうかい?じゃあ折角だし、久しぶりに2人でカヤスにでも行ってこようかねぇ!」


 そうウキウキしながらバイクに跨り直して走り出す2人を、賢治は手を振りながら見送る。




「ゴメンねぇ、思ったよりもしんどかったみたいだね。バイクに乗るのは初めてだった?」

「・・・ウン、でも、なんだかんだ絶叫マシーンみたいで楽しかった・・・カモ。」

「いや、そんな顔しながら無理にポジティブな感想にしなくてもいいよ?ホントごめんねぇ?」


 小休止


「よし!じゃあ改めて、湧き水を汲もう!」


 僕のメンタル回復を待ってくれた賢治が、手に持ったボトルを掲げて僕を水汲み場へといざなう。


 駐車場から砂浜沿いの道路を少し歩いていくと、小洒落たベンチや、壁のような柵のある水汲み場に着いた。水が汲みやすいように整備されていて、その場で直に湧き水を飲むこともできる。少し奥の崖からは、上から溢れ出した湧き水が滝のように流れており、ちょっとした修行ごっこができそうな雰囲気だ。


「ここが多幸湾の湧き水だよ!めちゃくちゃ冷たくて美味いんだ!ちょっと触ってみ?」


 そう促されて、流れている湧き水に手を触れてみると、成程、強烈に冷たい!今は冬だから、この冷たさは体に堪える。


「ハハッ、冷たいでしょ〜!夏でもこの冷たさは変わらないんだー!この湧き水、スイカとか冷やすのには最適なんだ!」


 確かに、夏でもこの冷たさなら、とても有難いな。最近は暑さが酷くなってるから。・・・・それにしても。


「ねぇ、この水、なんか変にキラキラしてない?」


 そう賢治に問いかけると、賢治は驚いた顔をして


「へぇ、月陽には視えるんだ!ここの水、信仰力が高いこの島から直接湧いてるから、少し信仰力が含まれてて、視える人にはキラキラしてるように視えるんだって!なんでもちょっとした厄除けになるんだって父さんが言ってた。島から持ち出すとすぐに効能が消えちゃうらしいけどね。」


 ふーん、成程。僕はこんなのも視えるようになってたのか。これは確実に再検査しなきゃいけなさそうだな。・・・・面倒くさいなぁ。

 そんな事を考えながら、湧き水をひと掬い口に運んでみる。

 ・・・・うん、これは確かに美味い!味に凄く透明感があって、喉越しが爽やかだ。こうやってわざわざ汲みに来るだけのことはあるな。


「良かった!気に入ってくれたみたいだね!うちではこの水を料理やコーヒー紅茶を淹れるのに使ってるんだ〜。」


 と、賢治がボトルに湧き水をダバダバ豪快に入れながらはにかむ。




 2つのボトルいっぱいに水を汲んだ後


「よし、お使いも済んだし、バスの時間まで砂浜でビーチコーミングしようよ!」


 と賢治が言ってきた。


「ビーチコーミング?」

「そう!要は砂浜での宝探し!波打ち際に流れ着いた色んな物の中から、お気に入りの一品を見つけるのさ!少し前まで波が高かったから、たぶん色々と漂着してると思うよ!」


 そう言うと、賢治は水汲み場から砂浜に降りていった。正直に言うとあまり興味はなかったが、せっかくのお誘いなので僕も賢治について行くことにする。


 きめ細やかな白い砂浜を歩いていく。波打ち際の近くまで来ると、濡れて色が少し変わった砂浜に白く濁った波が打ちつけられている。その波間に、確かにいくつかの漂着物が揺蕩いながら見え隠れしていた。木片、ペットボトル、よく分からない海藻、魚の死骸・・・・。

 ん~、ゴミばっかりだなぁ。

 そんなふうに冷めた気持ちで見ていると、賢治が歓声をあげた。


「やった!良いもん見っけ!見て見て!」


 そう言ってキラキラした目をしながら僕の所に持ってきたものは、細長い楕円形の形をした白い板状の物体だった。こうはしゃいでいる姿を見ると賢治が犬に見える。尻尾を振っている姿がありありと脳裏に浮かぶ。


「・・・・なにこれ?」


 流石に何もリアクションを返さないと可哀想なので、一応その物体の正体を聞いてみる。


「これね、コウイカっていうイカの仲間の背中に入ってる甲羅なんだ!これが良い鳥の餌になるんだぁ。」


 イカの甲羅?確かに、イカは捌くと細長くて透明なプラスチックみたいな奴が出てきて、それが先祖が着けていた甲羅の名残りだっていうのは教えてもらったことがあるが、こんなデカいのもあるのか。


 とは言え、まるで興味を惹かれない。


「へぇ~・・・・。宝探しって言うから、もっとキラキラした物を探してるのかと思った。」

「確かにそういうものも偶にあるけど、僕にとってはこれが今欲しいもの、つまり宝物になるんだ!何が宝物になるかは人や状況によって違うものだよ。砂浜には色んなのがあるから、自分にとっての宝物を見つけると良いよ!」


 ・・・・賢治、思ったより深い事言うじゃん。ちょっと見直した。


「キラキラしたのが良いなら、シーグラスとか、あとここだと滅多に見ないけど、黒曜石の欠片が落ちてる時もあるよ!」

「ふーん、シーグラスは他でも拾った事があるけど、黒曜石?それもあるんだ。」


 そう言えば、パンフにも書いてあったな。神津島では天然の火山ガラスである「黒曜石」が沢山見つかる有名な産地だって。

 賢治は遠くに見える、黒い帯状の横線が入っている岸壁を指さして


「この辺りだと、あの崖に長くてデッカイ黒曜石の層があるんだ!でもここには滅多に流れ着かないから、見つけたらレア物だよ〜?キラキラだよー?」


 と言って、僕を試すような目で見ながら煽ってくる。

 ムゥ、少し興味が湧いてしまったではないか。

 仕方ない。本腰を入れて探してみるか。


「・・・・もし見つけても、あげないからね。」

「お、言ったな〜?でもそんな無粋なことはしないよ〜。」


 そうやいのやいのと話しながら、僕らは自分にとっての「宝物」を探し始めた。



追加説明 島の湧き水の信仰力について

賢治は「島を離れると厄除け効果がなくなる」と話していますが、これは様々な理由で湧き水内の信仰力が「不活性化」するためです。

その理由については、後々作内で語られる機会があると思うのでその時に。

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