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神々の語り部  作者: 黒奇
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2. 信仰体~この世界について~

先日参加した「コミケ106」にて頒布した自作小説です。


神津島と、私の大好きな黒曜石


これらをPRするために書き始めたものです。


折角なので、この場を借りて定期的に投稿していこうと思います。


遅筆になるかとは思いますが、楽しんでいただければ幸いです。


都内某所


 島に向かう船に乗るために乗った電車内の液晶画面に、今朝見たニュースとは別の記事が出ていた。


 内容は


「都内での怪異、悪霊による事故事件件数が落ち着きつつある」

「数年前に普及し始めた信仰力可視化スマートグラス、通称『FWG(キツネの窓メガネ)』による信仰体への不意な接触と思われる事件が多発していたが、警視庁の信仰課による調査摘発とグラス開発会社の予防啓発が功を奏している」

「現在、この種類のスマートグラスが世界各国で次々に生まれているため、それらへの対応が今後の課題」


 だそうだ。


 信仰体

 ――宗教や神話、民間伝承等に登場するような、神様や妖怪、幽霊の類全般を含む「人ならざる者達」の、現代における総称。基本的に人間の意志、精神、或いは大地から発する「信仰力」と呼ばれるエネルギー(のようなもの)を元に活動する。

 普段は適性のある人でないと目に見えない存在であるが、人々の認知によって力(信仰力)を得ることができ、現実に影響を与えることができる。場合によっては、物理法則に基づかない「奇跡」ともいうべき力を発揮する。――


 しかしまぁ、信仰体(こんなもの)、視えなくたって何の問題もないのに。何故世間の人々は視たがるのだろうか。羨ましがられるが、元からある程度「視える」体質の僕にはその理由が分からない。

(なんなら今も、視えているからなぁ)


 そう思いながら、電車の座席に座っている女性客を見やる。

 顔色の悪そうな痩せぎすの女性の肩に、紅白の紐みたいなものでぐるぐる巻にされた、これまた人相の悪いヤクザみたいな人が貼り付いている。どうやら幽霊に取り憑かれ、どこかの神社仏閣で祭祀治療中の人のようだ。


 幽霊

 ――信仰体の中で最も身近なもの。人間(生死問わず)の意志が信仰力によりおぼろげな形になったもので、まるで霧のような存在。単体で現実世界に影響を及ぼす事は無いが、たまに人間や土地に取り憑き、それらの信仰力を使って現実に影響を与える事もある。――


 暫くみていると、その幽霊に「ナンジャイ見せもんちゃうぞコラ!」みたいな目で睨まれたので、慌てて視線を逸らす。

 そう。こんなものが視えても、大抵ロクなことにならないのだ。稀に役に立つ事――就職での有利性や日常での危機回避など――もあるが、これまでの経験上、デメリットの方が多過ぎる。

 ・・・と言うか、話には聞いていたが、祭祀治療中の人なんて初めて視た。あんな感じなんだ。


 なんか、病気の治療の後辺りから、信仰体がより良く視える様になっている気がする。これ、まだ家族にも言ってないんだよな・・・。視力の測り直し、とかなったら面倒だなぁ。

 そして、これから向かう神津島は、『神』の名が付いてるだけあってか、島自体の信仰力による神秘に満ち溢れている所なのだそうだ(観光パンフレットにそう書いてあった)。

 生まれて初めての離島ということもあって、高校生らしく心を躍らせていたが、この信仰力の件を思い出して、その気持ちが少し減退した。


 あの島には、どんな神様や妖怪がいるのだろう。


 厄介なことに、巻き込まれないと、いいなぁ。



 ・・・・この漠然とした不安が、後に想像以上の形で的中してしまう事を、この時の僕は未だ知らない。




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