1. 旅立ち
先日参加した「コミケ106」にて頒布した自作小説です。
神津島と、私の大好きな黒曜石
これらをPRするために書き始めたものです。
折角なので、この場を借りて定期的に投稿していこうと思います。
遅筆になるかとは思いますが、楽しんでいただければ幸いです。
太陽系第3惑星 地球
20〇〇年3月25日
日本 東京某所のマンションの一室にて
「行こうヴィクタル!キミとなら、どこまでも飛べるっ!!」
『キミが作ったプラモデルで頂点を目指せ!
FWG用ゲームアプリ最新作「プラモ・デ・ストラグル」好評配信中!!
ゲームセンターでも、遊べるっ!』
「・・・・フーン、最近はこんなのもあるんだ。」
僕はそう呟きながら、しかしてあまり興味もないスマホのCM動画をボンヤリと自室で眺めていた。
今日は出発の日。
前日までにあらかた準備は済ませているので、あとは身支度を整えて、朝ご飯を食べるだけだ。
「月陽ー!ご飯よー!」
服を着替え終わった丁度よいタイミングで、母の呼ぶ声が聞こえてくる。
父、母と3人で食卓を囲む。
今日で、暫くは家族と一緒に食事をとることがなくなる。そう思うと、少し感慨深くなった。
そんな僕をよそに、テレビはどこかの国の神様が来日するニュース番組を流していた。
「・・・もう決まってしまったことだから仕方ないけれど、一人で島で生活するなんてやっぱり心配だわ、月陽。」
食事をしながら母に怪訝そうな顔つきで言われる。
「大丈夫だよ。病院の先生も言ってたじゃん。もう十分に数値は回復してるから問題は無いだろうって。」
「そうだけども・・・やっぱり怖いわ。何が起こるか分からないもの。先生も、今の貴方の身体の状態には首を傾げてたじゃない。」
より心配そうに話す母をなだめるように、父が口を開く。
「なーに、母さん、島なら都会にいるよりも療養になって良いじゃないか。都合よく留学制度が整っていた島もあったしな。治安も良いだろうし、なんだかんだ、こっちにいるよりもノビノビと過ごせるんじゃないかと思うよ。」
何か思うところがあるのか、父は僕の「離島に行きたい」という突然で無茶振りな要望を、意外にもアッサリと受け入れてくれて、仕事が忙しい中諸々の手続きをしてくれた。本当に感謝しかない。
「ちゃんと定期的に連絡するよ。だから心配しないで」
玄関でそう言う僕の顔を、母は心配そうに見つめつつ
「・・・気をつけて、行ってきてね。」
と、半ば諦め顔で言った。
少し胸の辺りがキュッとなるのを感じつつ
「本当にありがとう。お母さん、お父さん。僕のワガママ聞いてくれて。」
「なに、月陽が決めた事だ。私たちはそれをできるだけ叶えてあげるだけさ。気にせず行ってくるといい。折角の機会だ、楽しんできなさい!」
と、父は僕を激励した。
「・・・うん!じゃあ、行ってきます!」
そう言って、僕は家の玄関の扉を開けた。
行き先は、東京都に属する群島、伊豆諸島の中の1つ、『神津島』。
そしてこれは
これから僕が神津島で体験する、この世界の
『祈り』
の意味を知る物語だ。