プロローグ ――報われぬ世界(A Thankless World)
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君は、考えたことがあるだろうか。
――この命のあとに、何があるのか、と。
この人生での行いに、本当に意味はあるのか。
最近、俺はその問いに苦しんでいる。
地獄を見て、生き延び、
誰にも真似できないことをしてきた。
けれど今でも恐れている。
愛した者たちの選択、
そして俺自身の選択が、
取り返しのつかない罪へと導いてしまったのではないか、と。
それでも――もう一度、同じ道を選ぶだろう。
今、奈落を覗き込みながら思う。
ここまで来られたのは、俺を支えてくれた人たちのおかげだ。
自らを犠牲にして他者を救った人たち。
彼らこそ、真の英雄であり、伝説だ。
俺の命は、もう終わりに近い。
人生には限りがあり、
誰にもそれを変えることはできない。
その事実を、何度も受け入れてきた。
幼き無垢の時代は終わった。
今は大人として、残された時間を
次の世代のために使わねばならない。
それが、老いた者の義務――
「王」を守る者の務めだ。
この世界は残酷で、
無意味な暴力と憎しみに満ちている。
痛みしかない世界だ。
それでも――これが、俺たちの世界だ。
彼女が生きている、唯一の世界だ。
俺には、彼女と同じ世界で生きる資格などない。
それでも、こうして共に存在できることを感謝している。
彼女が歌い、笑い、祈るこの世界。
それは、誇れる世界だ。
守りたい、慈しみたい世界だ。
だがもし、この世界が彼女を奪うのなら――
そんな世界に、存在する価値などない。
愛と平和だけの世界など、ありえない。
彼女のいない世界に、意味も価値もない。
優しさしか知らない世界、
愛しか知らない世界――
そんなもの、本当に存在できるのか。
もしあったとして、それに価値はあるのか。
俺たちの行いは本当に意味を持つのか。
その先に、何があるのか。
感情が先か、事実が先か。
その答えを探し続けながら、
残りの人生を生きていくのだろう。




