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第2章 無償の愛



「もう彼女のこと、心から愛してる。」

カイリーはそっと自分の髪を撫でながら言った。


「怖いけど…でも、ワクワクしてるの。変かな?」


「それが親になるってことさ。変な気持ちが全部ついてくる。」

フィンは笑った。


「怖い瞬間もあるし、ちゃんと育てられてるのかって不安になる時もある。

イライラしたり、どうしていいかわからなくなることもある。でもね…

時には、こっちが最後の砦みたいに思ってくれる瞬間もあるんだ。


俺はあんまり“良い父親”って言えるような奴じゃなかったけど…

それでも、あいつらの存在が、もっと頑張ろうって思わせてくれる。」


彼は少し身を乗り出して、優しい声で続けた。


「お前は一人じゃないよ。シモンも、イジーもいる。

そしてもちろん、俺も。――それだけで、十分すぎるくらい支えになるはずだ。」


彼はベッドの傍に行き、生まれたばかりの赤ん坊を見つめた。


「大事なのはさ、全力で向き合うこと。

そして、心から愛すること。それだけでいい。」


カイリーは、無意識に止めていた息を吐き出した。


「ありがとう…フィン。」


フィンレイは咳払いをした。


「それとさ…実は、ずっと言えなかったことがあるんだ。」


フィンレイは珍しく真面目な顔をしていた。


「カイリー、さっき娘が体から飛び出したばっかりなのはわかってる。

絶対めちゃくちゃ痛かったよな?俺には想像もできんけど。いやほんと、それだけでも――」


「フィン、集中して。」


「ごめんごめん。つまりだな…


あの日、花屋でお前を初めて見た時からずっと言いたかったんだ。


――俺と、結婚してほしい。」


「――」


「非公式の結婚かよ、父さん…」

イゼキアルがため息をついた。


神父も、書類もない。


証人は、兄弟ふたりと産婆だけ。


……いや、カリーを入れたら三人かもしれないけど、彼女は昨日すら生まれてなかった。


カイリーはくすっと笑い、涙が一粒こぼれた。


「――私も、あなたを夫として迎えます。」


「おめでとうございます。」

助産婦が微笑んだ。


フィンレイは妻になった彼女にキスをした。

そしてふたりは、カリーの上でそっと手を重ねた。


「ありがとう…カイリー。」


「なにが?」


「こんなに愛らしい娘を産んでくれて。

そして…命がけで頑張ってくれて。」


カイリーの唇がふわりと開き、微笑みがこぼれた。


「……どういたしまして。」




十二月


「えっと……こう、かな?」

シモンが聞いた。


「うーん……努力は認めるわね。」

「“努力”には“A”なんてないけど……」

シモンは、カリーの包み方を教わっていた。


「後ろ前だけど……まぁ、大丈夫よ。」

カイリーが言った。


赤ん坊は、柔らかい苔や乾燥した薬草を裏地に使った清潔な布にくるまれ、優しく腰に結ばれていた。


「んんー、んん〜」

カリーは小さな声で甘えた。


生まれてから一ヶ月。

体を温めたり、肌と肌の触れ合いを大切にしながら、頻繁な授乳も必要だった。

自分で震えることも、汗をかくこともできなかったから。


カリーは本当に小さな存在だった。体重は約2.2キロ、身長は43センチほど。

細い腕と足、呼吸に合わせて見える胸郭――それほどにか弱かった。


あの日シモンが何をしたのか、大人たちには今でも謎のままだ。

多くの者は「奇跡的な偶然」だと思っているが、カイリーにとっては「祝福」だった。


「フィリップスの血を引いてるからな、当然だ、戦う子さ!」

フィンレイは誇らしげに言っていた。


生まれてから数週間、毎日が命の瀬戸際。

温かさと栄養は、生き延びるための鍵だった。


子供は“奇跡”だという人もいるが、彼女が生きていることは、まぎれもなく“祝福”だった。


カイリーはそっと娘を抱き上げた。

その身体は、まだ冷たかった。


「ブラーソカー……」

彼女はそっと呟いた。


両手に微かな熱を込め、カリーの身体を温めていく。


シモンは目を丸くした。

街では人間が魔法を使うことなんて、ほとんどなかった。

でも――この村では違った。


もちろん、日常的に使うわけじゃない。

だが、ここのエルフたちは自然と共に生き、隣町と交易しながら生活している。


「どれくらい続けなきゃいけないの? カリーはずっとこうなの?」


「そろそろ授乳の時間ね。」


「……僕、手伝えるかな?」

シモンは尋ねた。


良いお兄ちゃんになりたかったし、役に立つ息子でもありたかった。


彼女がいつも疲れているのを見ると、心配だった。

父さんも兄さんもいないときは、自分が“この家の男”なんだと思って、何かできることを探していた。


「うーん……簡単な呪文なんだけど、無理はしてほしくないの。

熱の管理には集中力とバランスが必要なのよ。」


「……じゃあ、僕には無理ってこと?」


「違うのよ、シー。そんな意味じゃないの。

ただ、私にはもう当たり前のことになってるだけ。

魔法って、とても繊細なの。特に人間にとっては。」


「エルフにとっての魔法は、呼吸みたいなもの。

でも人間には、もっと集中力と精密さが必要になる。

あなたを信じてないわけじゃないの。本当よ。

ただ、無理してほしくないの。」


「……うん。」

シモンは視線を落とした。


「そんなに落ち込まないで。

もし本当に興味があるなら、村の子どもたちが通ってるモイラの小さな魔法教室に行ってみたらどう?

合うかは分からないけど、もし魔法に興味があるなら、そこから始めてみるのもいいかも。」


「ほんとに!? やってみたい!!」

シモンは嬉しそうに言った。


――こうして、シモンの初めての魔法の授業が始まることになる。


一月


「今日は来てくれて嬉しいよ、シモン。」

モイラが微笑んだ。


「せっかく若いシモンが来てくれたから、人間の魔法について説明しましょうか。」

そう言って、モイラは子供向けのおもちゃを二つ取り出した。ひとつはリング状、もうひとつは握ると潰れるボールだった。


「このボールがエルフ、そしてこのスクイーズボールが人間を表しているの。」

「人間は外からマナを取り入れて、エルフは内側から使うのよ。」


シモンが手を挙げた。


「そうだ、思い出した!だからエルフの目って赤いんだよね?」


「正解!よく覚えてたわね!」

モイラは優しく褒めた。


モイラもカイリーや他のエルフと同じく、本当に美しかった。優雅で、洗練されていて、その動作すべてが完璧に計算されているようだった。髪は他のエルフより少し短い。


最近、シモンはモイラの授業に参加していた。彼女の子どもたちも一緒だったが、少し年上だった。


「私たちの一族は目を通してマナを取り込むの。他の一族は腕や脚など、別の部位を使うわ。」


彼女はリングを掲げた。


「このリングを見て。中にマナが満ちるのよ。呼吸のように、2ミリほどの出入り口があって、空間が埋まるの。でもこのボール——」

今度はスクイーズボールを持ち上げた。

「——これは人間を模しているの。限られた量のマナしか持っていない。強く握りすぎたら……ほら、破裂しちゃうわよ!」


モイラは笑顔で冗談めかして言った。


「ごめんなさい、つい話しすぎちゃった。教えるのが楽しすぎて……」

彼女は喉を整えた。


「でもね、“破裂”したら魔法分解が起きるの。とても危険よ。」


急に真剣な表情になった。


「魔法分解とは、人間が自分のマナを全て使い切った時に起こるの。脳が焼けついて、衝動的で攻撃的になってしまう。“イド”だけで動くようになるの。」


「イド?」


「そうね……例えば、ママがケーキを焼いてくれたとするでしょう?その香りをかいだ時、“今すぐ食べたい!”って思うわよね?それが“イド”よ。夕飯をまだ食べていなくても、関係なしに欲しがる部分なの。」


「イドはルールも理性も関係ないの。欲望と感情だけで動くの。例えば空腹、怒り、恐怖、眠気——そういったものね。」


彼女は両手を組んだ。


「それに対して“エゴ”は理性的な部分。“ケーキは好きだけど、まずは夕飯を食べよう”って考えるのがエゴよ。感情と欲望の両方を聞いて、最善の判断を下すお手伝いをするの。」


「魔法分解が起きると、人はイドに支配されてしまうの。誰彼構わず攻撃するようになるわ。」


「じゃあさ、僕たちエルフってやっぱり人間より優れてるってこと?」

ある少年が頬杖をついて言った。


「ハミッシュ!」


「だって、本当にそうじゃない?人間は弱くて、マナをうまく使えないか、使いすぎたら狂っちゃうし。エルフにはそんな欠点ないし、僕らは脳なんて使わずとも平気だし。」


モイラは場をなだめようとした。


「種族に優劣はないわ、ハミッシュ。誰にだって弱点はあるものよ。」


「……」


「偉そうに言ってるけど、うちの一族は“平和主義”でしょ?」

少女が皮肉を言った。


「うるさいな、イオナ。」


彼はぶつぶつと文句を言った。


「ふふ、拗ねてるのね。シモンには可愛い妹がいるんだもんね〜」

彼女がからかった。


「可愛い?あの悪d——」


ドンッ!


モイラが本で彼の頭を軽く叩いた。


「イタッ!」


「さあ、喧嘩はおしまいにして、授業を始めましょうか?」


* * *


——数日後。


授業はあまりうまくいっていなかった。

どういうわけか、シモンには魔法の素質がなかったのだ。


「えっ?」

彼は一生懸命やってみたが、何も起きなかった。


「おかしいわね……こんなに基本魔法も使えない子、初めて見たわ。」

モイラは目を細めて言った。

「手を見せてくれる?」


シモンは手のひらを空に向けて差し出した。

モイラはその上に手を置いた。


「目を閉じて。」


シモンは素直に目を閉じた。


「十二月生まれの山羊座ね……なら属性は“土”のはず……」


「えっ!?手に触れるだけでわかるの!?」


「目を閉じてって言ったでしょ!」

彼女がピシャリ。


「ご、ごめんなさい。」


「じゃあ、今度は頭の中で“岩の立方体”を思い浮かべて。密度、体積、形、構造を意識して。」


「……」


「ふむ……やっぱり変ね。何も感じないわ。」

モイラは不思議そうに呟いた。


「もう目を開けていい?」

シモンは少し不安そう。


「ちょっと待っててね。まだ目は閉じたままで。」


彼女はシモンの手を離し、額に手のひらを当てた。


「もう一度よ。四辺の構造、密度、体積をしっかり思い描いて。」


「……」


「うん、焦らなくていいわ。時間はあるから、ゆっくり集中して。」


彼は真剣に取り組んだ。

周りのエルフの子供たちは、小さな土の立方体や炎、水の球を作っていた。

中には葉を浮かせる者もいた。皆、自分の属性で簡単に魔法を使えていた。


兄でさえ、大人の握り拳ほどの水の玉を生み出せていた。


シモンは目を開けた。


——だが、何も出なかった。


「本当に不思議ね……」

モイラは一瞬止まり、口を開いた。

「イゼキアル、村長を呼んできて。至急って伝えて。」


「はいっ!」

少年は走っていった。


モイラの目には、恐れと不安が浮かんでいた。


* * *


「どうしたんだね?」


「ご迷惑おかけします、村長。シモンを診てもらえませんか?」


「わかった。」

村長はシモンの額に手を当てた。


「さっきと同じように、岩の立方体をイメージしてみなさい。手の中や足元にあると思って。」


「ううぅ……」


「……うーん、何もないな。」


「えっ!?今、“脳が動いてない”って言った!?」

ある子供が叫んだ。


「いや、違う!そういう意味じゃ——」


「……バカってことですか?」

シモンは村長の手を振り払い、くるりと踵を返して走り出した。


「シモン、待ちなさい!」

村長が呼び止めたが、彼は振り返らなかった。


「……今日の授業は終わりだ。」


「ははは!」

子供たちが笑った。


シモンは、一度も後ろを振り返らなかった。

4

イゼキアルはすぐにサイモンに追いつき、腕を掴んだ。


「おい、何してんだよ?逃げ出すなんて子供じゃないんだからさ。それに族長に無礼だったぞ。」


「関係ない。」


「ふざけんなよ。ここにいさせてもらってるんだ。少しは礼儀を持って、教えてくれてる人に感謝しろよ。特に俺たち人間にとってはな。」


サイモンは腕を振り払った。


「何も教えてくれなかった。俺は落ちこぼれだ。簡単な呪文もできないんだ。」


イゼキアルはため息をついた。


「魔法なんてどうでもいいだろ?錬金術の時代が来るって聞いたし、数年後には魔法なんて無意味になるさ。」


その言葉にサイモンは違和感を覚えた。父が幼い頃に読んでくれた物語では、魔法は素晴らしくて、セブンからの贈り物だった。でも、イゼキアルは「どうでもいい」と言う。


「お前は何でもできるからそんなこと言えるんだよ。魔法も使えるし、頭もいいし、大人っぽいし、父さんから剣術も教わってる。だから簡単に言えるんだ。」


「やっと年相応になったか。悪くないな。でも…」


イゼキアルが言いかけた。


「うるさい、嫌いだ!」


サイモンは走り去った。


「人の話はちゃんと聞けよ…」


彼はいつもの木へと走った。怒った時、いつもそこへ行く。


「魔法なんか、いらねーよ…」


巨木にもたれかかりながら呟く。その木は彼に安らぎを与えてくれた。あの日、羽を見つけた場所だった。あの羽が、妹の命を救ったと彼は信じていた。サイモンにとって大切な場所だった。


「やっぱりここにいた。」


「…あ、カイリーさん。」


カイリーはカリーを胸に抱くスリングで包みながら歩み寄ってきた。


「兄さんがすごく心配してたわよ。草原の方に走っていったと思ったらしくて。」


彼女はサイモンの隣に腰を下ろした。


「兄貴のことなんか、どうでもいいよ」とサイモンは膝を抱えたまま言った。


「そんなこと言わないで。彼、あなたのこと大好きよ。みんなも。」


「みんな兄貴のことが好きなんだ。かっこいいし、魔法も剣も上手いし。俺なんて、手が痛くなるし、マメもできるし、魔法もできない。どうやってカイリーさんとカリーを守ればいいんだよ…」


カイリーは唇をかんだ。


「誰がそんなこと言ったの?」


「父さん…父さんと兄貴がいない時は、俺が家を守らなきゃいけないって。」


カイリーは深く息を吐いた。


「あなた、まだ五歳なのよ。私たちを守るなんて心配しなくていいの。あなた自身だってまだ子供なんだから。」


「ほんとに…男って、すぐに男の子にプレッシャーかけるんだから。自分の息子を比べたりして…理解できないわ、男の思考って。」


サイモンは見上げた。


「でも、俺は強くなりたい。父さんに言われたからじゃなくて、自分の意思で。俺、カイリーさんとカリーのこと大事だから…だから何かあったらって考えると、お腹が痛くなるんだ…理由はよくわかんないけど…」


「それはね、無償の愛ってやつよ。」


カイリーはカリーの手を撫でながら言った。


「むしょうの…あい?」


サイモンが瞬きをした。


「そうよ。どんな時でも愛せる相手のこと。」


彼女は微笑み、カリーをスリングから出して見せた。


「例えばこの子ね。初めて見たときから、この子を守りたい、愛したいって思ったの。たとえ将来、失礼で傲慢で自己中な子に育っても、私はこの子を愛し続ける。」


カリーはくーくーと声をあげた。


「ほら、サイモン。賛成してるみたいよ。」


カイリーはカリーを頬にすり寄せた。


「この世で無償の愛をくれるのは、親と、あなたが大切にしようと決めた兄弟だけなのよ。」


「ねえ、サイモン?…私、あなたのこと、愛してるわ。」


サイモンはそっぽを向いた。


「…俺も、カイリーさんのこと、好きだよ。」


カイリーはぱっと顔を輝かせた。


「ああ、かわいい!ほんとに、みんな愛してるわ〜!」


「ちょっ、カイリーさん、苦しいよ〜!」サイモンは彼女の腕の中でもがいた。


「それと、兄貴とは仲直りしなさい。すごく心配してたわよ。」


「…わかった。」


でも、剣の稽古くらいはしてもらうからな!


サイモンは心の中でそう思った。

5


「わぁー、わぁー。」


サイモンはカリーの泣き声を聞いた。カイリーは料理中で、兄と父は出かけていた。


彼はカリーのもとへ向かった。


彼女は暖を取るため、炉のそばにいた。


彼女はカイリーが編んだ濃い茶色の編みカゴの中に横たわっていた。白とピンクの柔らかなかぎ針編みの毛布にくるまれていた。そのカゴはスタンドの上に置かれていた。


サイモンはよちよちと歩いて近づき、彼女を見つめた。


「よしよし、大丈夫だよ。お兄ちゃんがいるから。」


「――」


彼女の目がサイモンに向いた。


そして――


「んんっ…えぇっ!」


また泣き始めた。


「あ、あー、泣かないで。」彼は周囲を見渡して、何か気を引けるものを探した。


目に入ったのは、積み木の一部だったおもちゃのリング。


「やっぱり、君がここにいたか。」


そのおもちゃは、今の状況を嘲笑っているように思えた。


サイモンはカリーの上に身を乗り出した。


「ほら、リングだよ!なんの象徴でもないからね!」


「アアァエェ〜!」


…やっぱりダメだった。


彼はカリーをカゴから抱き上げた。


「わぁー!わぁー!」


どうやって自分が落ち着いてたかを思い出そうとした。


…でも、自分の母親のことは思い出せなかった。どれだけ慰めてくれていたとしても、そこまで昔の記憶はない。


その考えに、少し気が滅入った。


彼は頭を振って、ソファに座った。


そして、イゼキアルがしていたことを思い出した。


指を彼女の小さな手の上に置いた。


すると、彼女の小さな指が自然と彼の指に巻きついた。


「ひっく、ひっく…」


泣き声が静かになっていく。


「やっぱり君も俺と同じなんだな…」


彼はにっこり笑った。


「怖い時は、いつだってお兄ちゃんがそばにいるよ。」


「んー。」


「どんな時でも君を愛してる…ママが言ってた、無償の愛ってやつさ…」


彼の顔が真っ赤になった。


「うわ、ママって言っちゃった…カイリーさんに聞かれてませんように…」


…聞かれていた。しかも、彼女も真っ赤だった。


数分後、カイリーが部屋に入ってきた。


「ほんとに泣き止ませたのね…ありが――」


彼女は言葉を止めた。


サイモンがカリーを抱いたまま、すやすやと眠っていたのを見たからだった。



今回は小さくて親密な章です。キャラクター同士のやり取りを深める練習をしています!


母と自分の誕生について話す機会があって、「一目惚れ」と「無償の愛」について語ってくれました。それがこの章のテーマに繋がっています。


本当のところ、この世界で無条件にあなたを愛してくれるのは――親だけかもしれません(たぶん!)。

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