プロローグ
夜空に燦燦と蒼く輝く一番星テルル。
この星はいつもきまって最初に光り出すのに、そのくせ夜空で一番明るくて、他の星たちの立場を奪ってしまいそうだ。
手が届きそうなほど近くにあるのに、でも届かない。
近くても、絶対に届かない輝き。
それでも、蒼く、蒼く、どこまでも蒼く。
僕の心を鷲掴みにして、千々に僕の心を切り刻んで。
僕の感情を、心を、魂でさえも、身勝手に振り回し続けるその星は。
その蒼い輝きで、僕の胸にどうしようもないほどに懐かしい古傷をつけて。
いつまでも僕の心に残り続ける、えぐり取るように生々しく、痛々しく、昨日のことのように感じられる、あの頃を僕の魂に刻んで。
そして、君はこんなに近くてこんなに遠くに行ってしまった。
最近、君はその乳白色の雲を閉ざし続けていて、蒼い輝きを見せてはくれないけど。
あいにく一昨日は曇りだったけど。
昨日も曇りだったけど。
今日もきっと曇りで。
たぶん明日も。
でも、その雲が晴れたとき、君がまだいるかはわからないけど。
まだそこに君というまばゆい輝きが残っているかわからないけど。
それでも、そのいたずらっぽく笑うその顔で。
あの頃のように、輝く一番星のようなその瞳で。
もう一度だけ、もう一度だけでいいから。
輝いてほしいと、もうずっと、そう願っている。