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サンセット商事6

サンセット商事 6


人を幸せにするために金を使えば寿命が延びると信じて 奮闘したのでありますが その延び具合を確かめる為に 哀れな男は病院へと向かったのでありますが その結果はといいますと

散々なものでありました 憤慨した男は 老婆さんに騙されたと怒り心頭 その足で空き地へと向かったのでした


『おいっ ババァ 出てこい !』


男が茂みに向かって怒鳴りました すると スゥーッと風が茂みの葉っぱを揺らしたかと思うと老婆さんが すぐ背後に立っていました

男は驚いて

『いつの間に 出て来やがった』


『ヒッヒッヒッ さっきからいたさね どうだい 少しは寿命は延びたかい 随分顔色が悪いね その様子だと長くはないね』


男は血走った目で老婆さんを睨みつけました


『ババァ テメェ 騙したなぁ』


『何を言ってるんだい あんたなんか騙しだって なんの得にもなりゃしないよ 』


『俺はな お前に言われた通りに 金を使ったんだ それなのに 何にも変わらいじゃねぇか 』


『なら 教えてやるがね あんたが使った金じゃ 誰一人幸せになってないんだよ 社員達はあんたから給料倍やると言われて 不安で怖気付いてる始末さね それに ホームレスに恵んでやった金はね その日のうちに 酒と博打でパァーさ どうだい?わかったかい 』


『なんで そんな話 知ってるんだ 誰から聞いた』


『そんなのは 全部御見通しさね ついでだからもう一つお聞き いいかい そもそもあんたのやってる商売自体が人を幸せにしないね 商売替えするんだね ヒッヒッヒッ 』


男は苛立ち 罵倒しようと口を開いた途端に深い咳に襲われ 目を上げた時には 老婆さんは居なくなっていました


帰りの道すがら公園の横を通りかかると 炊き出しを待つホームレスの行列ができていました 男は立ち止まってその様子を見ていました 見覚えのあるホームレスが何人かいます その中に あの調子の良い爺いがいました

しかも 金を恵んでやった時には想像もできないぐらいの 幸せそうな面でうどんを啜っているのでした 男は ハタと考えました たしかにあの老婆さんの言う事も 一理あるな……


続く……


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