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サンセット商事5

サンセット商事 5



人が幸せになるために金を使うなんていうことが どういうことなのか 男に想像できるはずもありません そもそもこの男は金がすべてで生きてきた人間です 結局は 自分の物差しで考えるしかないのでありました

さっそく男は社員達を集めると こう切り出しました


『 お前達 今 幸せか?』


唐突にそう聞かれた社員達は お互いの顔を見合わせてながら 何も答えられずに黙っていました


『 もしもだ 給料が上がったら お前達 もちろん幸せになるだろうな どうだ…… 』


男は強引に詰め寄りましたが それでも何も答えない社員達に男は苛立ち気味に


『 鈴木 答えろ どうだ 』


突然名指しされた鈴木は おどおどしながら答えました


『 確かに 少しは幸せになるかとは思いま

す…』


『そうか そうだよな 金が入れば幸せになるに決まってるよなぁ よし 今月からお前らの給料倍にしてやる 』




その夜のことです 酒場の隅で何人かの社員が集まっておりました


『どう 思う 社長の今日の話』


『俺は嫌だよ あの社長のことだ 何か企んでるに決まってるよ』


『やっぱり お前もそう思うか? 多分 給料倍にするって事は 今以上にヤバい仕事させるつもりかもしれないなぁ』


そこへ 社員の鈴木が遅れてやって来ました

鈴木は座るが早いか 興奮した口調で


『 いやぁ…驚いたよ 』


『どうしたんだい?』


『 今 ここへ来る途中で ほら あの西口の公園あるだろう あそこでさ 社長がホームレスに金渡してるの見たんだよ 』


それを聞くと一人の社員が言いました


『やっぱりだ 俺の言った通りだよ 社長ヤバい仕事に首突っ込むようだな この会社も長居は無用かもしれないなぁ』


社員達がそんな話をしているとは つゆ知らず

社長は公園のホームレスに金を配るのでした


『旦那 こんなにたくさんいただいてもよろしいんですか?お釣りなんかは持ち合わせて無いんですがね?それとも 何か?仕事でもさせようって気ですかい? 違う ただ 私が幸せになればそれでいい? それゃ有り難い話ですなぁ わたしゃね 今まで生きてきて こんなに幸せな事はありませんや 有り難い 旦那は生き神様でらっしゃる わたしゃ 金を頂くのがなによりの幸せなんでございましてね

明日も幸せになりますんで 旦那 また お待ちしてますよ』


『チェッ 調子の良い爺いだ』


男は毎晩 公園や街角で寝ているホームレス達に金を配って歩きました これだけ金を使えば多少 俺の寿命も延びたに違いないはずだ


続く……


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