ハーレム、拡大する!!
ハーレムについて考えてみたんですが、これハーレムか?なんだ?てなりました。よろしくお願いします!(´∀`*)
「王女様と、結婚……?」
田舎の村は情報も遅い。
旅の商人からその話を聞いて、私、マリスは愕然とした。
私には結婚を約束した相手がいた。
幼馴染の男の子、アレスだ。
アレスと私は何もない田舎の村でのんびりと育ったが、ある時神託によりアレスが勇者に指名された。
なんでも勇者というのは、悪い魔王を倒すらしい。
田舎育ちで世事に疎い私は、魔王?勇者?だったが、アレスは魔王退治に旅立った。
必ず魔王を倒して迎えに来る、そしたら結婚しようと言って。
それから五年、私は待った。
アレスが好きだったから。
便りがないのは元気の印とはいえ、心配だし寂しかった。でも、待った。
そして今、魔王を退治して凱旋した勇者アレスが、王女様と結婚するのだと聞いた。
「そんな…だって、私…約束して…」
「仕方ないよ、勇者様なんて別世界の人間だしね」
商人さんは慰めてくれるけど、私は現実を信じられずにいた。
あの約束は…過ごした日々は、何だったの…?
ただ、待っていた私が、悪かったのかもしれない。
もっと、彼のためにできることがあったのかもしれない…
そう思い、涙がこぼれそうになった時——……
「帰ったぞマリス!!結婚しよう!」
「アレス!!」
そこには懐かしい——しかし精悍になった彼の姿が!
「アレス、お帰りなさい!お帰りなさい!待っていたわ!」
「ありがとうマリス!待たせてすまない!結婚しよう!」
「ああ…!アレス!!」
「よかったですわね!正妻はマリスさんですわ!」
おん?
アレスに飛びつく私。私を抱きしめるアレス。
そんな二人をさらに抱きしめる美女。
「申し遅れましたわ!私コノハンナ、この国の王女です!アレス様の第二妃となりますわ!」
おん?
「私ミューテル!魔法使いよ!アレス君の第三妃よ!」
「私リリテシラと申しますわ。聖女ですの。アレス様の第四妃となりますの」
「サブリナだよ!アレッチの第五妃だよ!」
「マール…。です…。私は6番目…」
なんか美女と美少女がぞろぞろでてきた。
「「「「「「「これからよろしく(ね〜!)(お願いしますわ)」」」」」」」
なんぞこれ!!!?
**************
コノハンナ様以外の彼女達は旅の仲間だったらしい。
共に戦い、魔王を倒したそうな。
だから魔王って何って感じなんだけど。
そんで厳しい戦いの中、全員絆を深め、しっぽりなさったらしい。
なんだそれ。
「まあまあそこらで拾い食いするよりましではありませんか」
王女様はケラケラ笑う。
あれから私は茫然としているうちに王都に連れてこられ、合同結婚式を挙げた。
そして茫然としているうちに七人制初夜を行った。ベッドがくそでかかった。
「いやなんかいまだに理解が追いつかないというか……。王女様はこれでいいんです?」
「もう王女じゃないですよ。コノハンナとお呼びになって」
「コノハンナ様…」
聞けば、コノハンナ様はアレスが魔王退治の褒美にと望んだらしい。なんやそれ。
アレスは騎士団長となり、騎士様や兵隊さんの指導にあたっている。旅の仲間は女の子ばっかだったのにいるんだな騎士とか。いやいるのは知ってるけどなんだろな。
地位も得て、英雄として多額の報酬も貰ったそうで、大きな屋敷で私たちは暮らしている。
アレスは私たち全員を愛しているというし、日によって人数が変わるが夜も過ごしている。
「でも、この国一夫一妻制ですよね…?」
「勇者様のご希望とあって法が変わったんですよ」
「ええ〜…」
アレスすごいな…。ほんとなんなんだろ…。
「でも、納得いかないんですよ。だってアレスはみんなを愛してるって言うけど、私の愛は全てアレスのものなのに、アレスの想いは六分の一ですよ。
村を出る前は全部私のだったのに。皆さんがどうこうってんじゃないですけど、手取りが減ったのは確かですよね」
「手取りって。まあその考えもわかりますけどね。
でもよく考えてごらんなさい。愛って人数で減るものですか?」
「減るでしょう。実際、一人を相手にするよりも割ける時間や想いは少なくなるじゃないですか?」
「ですがあなた、ご兄妹がいらっしゃるでしょう?」
「いますが、それが……?」
「妹さんが生まれて、ご両親の愛は少なくなって?お兄様は、あなたが生まれた時、愛が減ったとお嘆きになって?」
「!!」
「愛とは、増えていくものですよ。分割されるものではありません。六人いれば、六人分の愛が生まれるのです。子供が産まれればもっと、更に。お分かりになって?」
「ええ…。えー…??」
そうかな…いやどうだ…?ええー…
というわけで、納得したんだかしないんだかな気持ちで、私は日々過ごしていた。
しかしある時——……
「裏切りだ!!コノハンナ!君とは離婚する!!」
アレスが血相を変えてコノハンナ様に詰め寄った。
「どうしたのアレス?」
「聞いてくれ!コノハンナが浮気していたんだ!」
浮気?
「他の男と寝ていたんだ!それも二人と!裏切られていたんだよ!」
「でも、何かの誤解じゃ…」
「誤解ですわよ」
「ほら!」
「浮気だなんて人聞きの悪い。第二夫と第三夫ですわ。別居婚ですけど、きちんと籍を入れていますわよ」
「!!??」
「この国は多妻多夫制ですわ。アレス様が他妻をお望みになられた時、そうなりましたの」
「そ、そんな…!!だって、おかしいじゃないか!そんな…」
「おかしくないですわよ。一人の男性に妻が多くいるのがおかしくなくて、一人の女性に夫が多くいるのはおかしいのですか?」
「で、でも!夫のいる妻が他に男を囲っているのは変だろう!一緒に暮らしてないし…そんなの愛人じゃないか!」
「一緒に暮らしていないのは物理的な問題ですわ。
夫に多くの妻がいるならば、その妻にそれぞれ多くの夫がいたっておかしくありませんわよね?
そしてその夫達にもそれぞれ多くの妻がいるのです。どうしたって一緒には暮らせませんわ。何もおかしなことなどありません」
んん〜〜〜〜??????
そうかな〜〜〜〜???
おかしくないかな〜〜〜〜????
「出稼ぎにでたり親の介護などで別居する夫婦は夫婦でないと?」
んん〜〜〜〜〜〜????
ていうか…妻に「それぞれ」多くの夫?
「他の皆さんもそれぞれいくらか夫がおりますよ」
「「ええ〜〜〜〜〜〜!!!???」」
なんと他のみんなも多夫を抱えていたらしい。
もうわけがわからないよ。
アレスも愕然としてぶつぶつ言ってる。
「そ、そんな…そんな…みんな僕を愛してたんじゃないのか…!?」
「愛してますわよ?」
「そうじゃなくて!!」
アレスがキッと私を見る。
「君は!?マリス、君もか!?」
「いや私はアレスだけだけど……」
そんな発想なかったし。
「マリスっ…!!!」
なんかアレスに抱きしめられて、わんわん泣かれ、私はなんだこれと思ったのだった。
そんなわけでアレス一家は解散することとなった。
みんなは残念がったが、それぞれ夫達と暮らしたり、夫達の妻達と暮らしたりするらしい。
私はコノハンナ様に無知すぎる、ちょっとは世間の事を知りなさいと叱られたが、アレスと一緒に村に帰ったので、世間に疎くてもまあいいかと思っている。
だから、その後王都で多夫多妻での生活費などの金銭トラブルや相続やなんやでの問題が多発し、ごたついてる間に魔王と呼ばれたっていうかうちの国が勝手に呼んでた遠くの国の王様の敵討にその国が攻めてきたり、どさくさでコノハンナさまが父王様の首をチョンパして差し出して魔王暗殺チームがメンゴして和解したりこの国の多夫多妻を知った遠くの国のひとがアホじゃねえのと言ったとかなんとか、そういうのは随分後に、いつも数ヶ月に一度くる旅の商人さんの話で知った。
こんな辺鄙な田舎じゃあまり関係ないし、へ〜と思っただけで、毎日アレスと二人、穏やかに暮らしている。
アレスはすっかり一途になり、ハーレムなんて、多妻なんて間違っている!と、私だけを愛してくれる。すきすき♡
でもうちの村も祭りの夜に乱交したりはあんだよなーこの村のみんな大体兄弟姉妹だしーとかは思ったが、それは伝統ってもんだし、やっぱ多夫多妻なんて、都会は変だよな、田舎者にはついていけんわと、私は日々の暮らしに戻るのでした——。
おしまい!
お読みいただきありがとうございます!(´∀`*)
ハーレムのこと考えてて、途中の屁理屈思いついてじゃあそれぞれハーレム持っててもいいのかな?と思った結果こうなって、なんやろなとなりました