あの日の四つ葉クローバー
僕はとある高校で退屈な所から始まる。
いつも通りの時間、いつも通りのチャイム、いつも通りの授業が始まる。
その時、ポケットの中で携帯が静かに揺れる。
これは、メールかゲームの通知された時に揺れるバイブ設定にしており音は出ない様にしていた。
僕は休み時間に何となく確認することにした。
ある日の出来事、SNSで女性と出会い実際に会って恋をした。
彼女は容姿が整っており黒髪のロングヘアに雰囲気は可憐な女性でもあった。
そして、恋をした大きな要因は彼女が笑顔を見せた時、百合の花のように笑う姿に心を奪われた。
僕は彼女に告白すると彼女から「宜しくお願いします」という返答を貰った。
その返答を貰った時に僕はあまりの嬉しさに友人達に自慢をした、その時に自慢し過ぎたのか友人にうざがられてしまったが、ただそれ以上に嬉しかった。
そして、彼女と初めてラインで盛り上がり彼女から誘われる。
内容は「次の日に休みだから一緒に何処かで遊びに行こうよ」というものだった。僕は嬉しくなり2つ返事でオッケーと返信した。
次の日、彼女と僕とで初めてのデートをした。
午前中は水族館で巨大な水槽の中の色々な魚やペンギンショーを回り彼女と一緒になってはしゃいで楽しんでいた。
正午になり彼女と一緒にレストラン街に連れて行き僕は彼女の手を引きながら指を指すとそのレストランは他とは違った高級感溢れるレストランであった。
しかし、彼女は首を横に振り僕の頬に人差し指を当てて言う
「無理してそういうお店選ばなくても大丈夫よ」
彼女の微笑む顔に僕の頬が紅潮していくのが分かった、僕は彼女に何処が良いか問うと彼女が答える。
「私はあっちのお店が良いかなぁ」
彼女が指を指した方向を見ると普通のファミレスであった、僕は何故?と顔を傾げる。
彼女はクスクスと笑って僕の手を引いて行く
「行こ、私あのお店で堅苦しいの苦手だからさ」
僕はゆっくりと頷いてファミレスのお店に入る。
店内はそこまで混んでおらずすんなりとテーブル席へ案内されて座る。
彼女と対面するように座るととても心がドキドキしているのに気づく
そして、彼女ははにかみながらに言う
「そんなに見つめてどうしたの?」
「え、いや、その···」
僕は言葉が詰まった、余りの緊張に僕は視線を落として真っ赤な顔を隠す。
それに気付いた彼女は微笑みながら僕をからかう
「その、何?何か言いたげだったね」
彼女はグイグイと顔を近づける。
僕は近づけてくる彼女の顔に対して必死に隠すように抵抗する。
その時、彼女と僕の間に割って入るように男性のウェイトレスが
お冷をもって来てテーブルに2つ置いて「失礼しました。」と言って立ち去る。
彼女は驚きながらも僕に言う。
「何かいちゃつくなみたいな感じだね、注文しよっか」
彼女はメニューを取ってファミレスの定番メニューからデザードメニューまで読み進めていく、僕も同じくメニューを読んでいって決める。
僕は彼女に何が決まったか伝える。
「僕はデラックスハンバーグとミートドリア」
「ふふ。いっぱい食べるんだね」
彼女は微笑みながらにテーブルの端にあるコールボタンを押す。
先ほどの男性のウェイトレスがやってきて注文を受け、すぐに下がる。
その後、沈黙が続いて何とも言えない空気が流れて時間も同じく流れる。
そして、空気を破るように彼女が声を掛ける。
「今日、デート誘ってくれてありがとう」
彼女は飛びっきりの笑顔で僕に向ける、その時、僕はこの人を好きになったと確信した。
その日、彼女と楽しく昼食を終えて次のデートの約束をして別れた。
彼女との初デート以降、彼女と一緒に動物園や観光地など色んな場所へ出掛けて行き、彼女が僕に差し向ける笑顔がさらに僕を好きにさせていった。
月日は流れ、僕は彼女にある告白をする。
「ぼ、僕と付き合ってください!!!」
花束と共にお辞儀をして彼女へ向けて告白をする。
彼女の返答を待ってると次第に不安が増大していく。彼女の表情や仕草が分からず時間が経つに連れてさらに増えていき恐る恐る、彼女の様子を見る。
彼女は赤面になりながら何処か目を泳がせて髪の毛先を弄りながらモジモジとして返答に困っていた。
僕も赤面になり、姿勢を戻して恥ずかしく返答を待つ。
彼女は僕の手を取り一言で返答をした。
「宜しくお願い致します!」
その返答を貰った時、湧き上がる感情は今までに味わった事が無い嬉しさが溢れて彼女を抱きしめる。
そして、彼女と僕はキスをした。
甘くてとろけるような時間でもあった、彼女と僕はお互いに微笑み予定通りの観光巡りを開始した。
告白してから彼女と僕はお互いの距離が少しずつ縮まる、彼女とデートをした時に彼女は赤面になりながらも勇気を振り絞るかのかのように僕に言う。
「私と一緒に何処かに休憩にしない?」
彼女は恥ずかしいのか何処かモジモジとしていたが決意したように堂々とする。
僕は笑顔で彼女に答える、「いいよ!」その瞬間、彼女は僕の手を取り彼女が指を指す。
指を指す方向を確認して驚愕する、指した方向は2人で入った事が無いホテルであった。
彼女は早歩きになりその場所に辿り着く、その建物の中に入って部屋の鍵を受け取り彼女と共に部屋に入る。
ベッドはツインであり60分コースと書かれたレシートを置く。
お互い、初めて入る場所でもあり2人してベッドに腰掛けるだけで時間が過ぎていく。
2人の間には沈黙が支配していた、僕は沈黙を破るために彼女に聞いた。
「どうして、ここにしたの?」
おどおどとした声で彼女に聞いた時、彼女もおどおどとした声で答える。
「いや、ほらね。彼氏彼女関係ならこういうのも経験必要かなと思ってね。」
そして再び沈黙が訪れる、そして意を決して僕は彼女に面を向かう形で言おうとした瞬間、彼女も意を決したかのようにこちらに向かって言おうとして向かい合う。お互いに目が合い、2人して笑い合う。
そして、彼女は笑った後に言う。
「恥ずかしくなってきたの馬鹿らしくなってきちゃった、何処かにお茶する?」
僕も返答する。
「僕も賛成、緊張しちゃってずっと固まったままだから体が痛い」
そうして倒れ込むと意外とベッドがふかふかしておりボフンという音を立てて倒れる。
彼女も一緒に倒れ込みボフンと音がする、そうして2人は見つめ合いキスをする、そして、彼女と僕はそのまま眠ってしまった。
その後、ホテルスタッフさんがやってきて怒られるがホテルから解放されて夜になっており、2人して笑い合い再び約束をし合う。
そうして、彼女との思い出の1ページとなる程に楽しんでいた。
次のデート場所で僕は彼女と共に土手に行きクローバーを一緒に探していた、そして、三つ葉が多く咲いている場所がありそこに行って2人で探す。
辛抱強く2人で探していると彼女が大きな声で「見つけた!」と言う。
僕は振り返って彼女の下に向かい、彼女の手に四つ葉のクローバーがあった。
僕と彼女は大喜びして再び探して、ついに僕も見つける。彼女に大声で呼ぶ。
彼女が駆け寄り自分の手の平にある四つ葉クローバーを見せて2人して笑い合う。
そして、彼女と一緒に土手の坂に腰掛けて休憩がてらに聞く。
「今日は何で四つ葉クローバー探しなの?」
彼女は微笑みながら答える。
「何となくだよ。ほら、もう付き合って長いし、2人してこうして遊ぶのも悪くないじゃん。」
彼女の言葉に僕も微笑みながら言う。
「君と何処に行っても楽しく出来るよ。」
彼女は笑顔で「良かった」と言うと彼女は立ち上がり僕に言う。
「飲み物買ってくるね、何飲む?」
僕も立ち上がろうとした時に静止して1人で買いに行きたいという彼女に僕は頷いてお茶を頼み座る。
彼女は笑顔で「分かった」と言って去っていく。
そして、彼女の帰りを待つがなかなか帰って来ず、僕は心配になり彼女が去っていった方向に追って行く。
その時、彼女が向かった先に小さい公園がある事を思い出しそこの自販機に向かったのかなと歩いて向かう。
土手の階段を下り住宅街にある小さな公園がある方向に向かう。その時、フードを被った男とぶつかり、僕は倒されるが男は何も言わずに立ち去って行き僕は立ち上がる。僕は男が走り去った公園に向かうと彼女が小さい子供を庇い背中にナイフが刺されていた。
子供は大きな声で泣く中、僕は彼女に駆け寄り抱きかかえると彼女は息も絶え絶えになりながら僕の胸を掴んで彼女は掠れる声で言う。
「私、子供の事、守れた・・かな・・・」
僕は涙を流しながら子供が無事と伝える、彼女は口から血が吹き出しながらも微笑んでポケットの中に手を入れて取り出したのは四つ葉クローバー
彼女は微笑みながら言う。
「無事で・・良かった・・・・・・」
彼女は腕の中で呼吸が早まるのを感じて、僕は一生懸命に声を掛けるが彼女は微笑みを崩さず、僕に言う。
「また、デート・・・して・・・・・く、れる?」
僕は彼女に涙を流しながら答える。
「行く、行くからどうか死なないで!」
その時、子供の大声で泣き叫ぶ声で不審に思ったのか駆け寄った人が現れて大慌てで僕に声を掛けながら何処かに電話する。
「今から救急車を呼ぶから待ってろ!」
彼女は血塗られた手で僕の頬に手を添えて、伝える。
「キス・・・して・・・・」
僕は言われるがままに彼女の唇を重ねる。
そして、彼女も涙を流しており唇が離れると伝える。
「ごめん・・・・ね・・・・・・・・・・」
頬を添えていた手が離れて地面に落ち、彼女が笑顔のままに腕の中で死ぬ。
そして、僕はその日に大きな声で泣いた。
その後、彼女を刺した犯人は捕まらなかった。
僕はその犯人を許せないでいたが、犯人を探す事が出来ず年月だけが経っていった。
もう、若くしていた自分が羨ましく思ったが杖をついて彼女と約束した地に向かう。
彼女が行きたがっていた場所は花が多く咲いている花畑であった。
僕は杖をつきゆっくりと歩いて血のついた四つ葉クローバーとシワシワの四つ葉クローバーを手に歩く。
そうして、歩いた先に1つの墓石が見えてくる。
それは彼女の名前が掘られていた名前があった。
僕は彼女の墓参りをしていた、そして、お花や線香を上げた後、彼女が大好きであったキャンディをお供えして手を合わせる、風がなびき花が揺れる。
そして、もう1人スーツ姿の男が僕の後ろに現れてお辞儀する。
僕は微笑みながら男に言う。
「調子はどうだい?」
男はハキハキと話す。
「はい、元気に過ごしています。あの日、彼女に助けられた事は一度たりとも忘れていません。」
僕は笑いながらゆっくりとベンチに腰掛ける。
そして、男に僕は言う。
「もう、こんな事に付き合わないでいいんだよ、君は君の人生があるんだから。」
男は照れくさそうに言う。
「それは出来ません。彼女に助けられた恩は一生忘れません。それに貴方の事を大事に思っていました。」
男は子供の時を話す。
彼女が僕を庇う際、刺された後に僕の事を何度も思っていた事を話す。
僕はその日の話を受けて涙を流す。
そして、男は続けて話す。
「僕は警察官になりました、彼女の様に誰かを守りたいと思っています。」
それを聞いて僕は涙を流しながら男に言う。
「お願いだから無茶だけはしないでおくれ。」
男は僕を優しくハグして「大丈夫です」と答える。
そして、僕は彼に2つの四つ葉クローバーを差し出して渡す。
「これを渡すから約束してくれ。」
彼は嬉しそうに「はい」と元気よく答えて受け取ってくれた。
あの日の頃を思い出す、あの日彼女と一緒に無理にでも行けば良かったと後悔だけが残った。