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 リーネが着替えをしに行って既に三十分。

 姉は随分と長いことリーネを着せ替え人形にしているらしい。微妙に遠くから姉の声が聞こえるので、着せ替えれば着せ替えるほどもっと着せ替えたくなる服が出てくるのだろう。


 リーネが俺の部屋に戻ってきたのは更に十分くらいが経過した頃だった。


「どう、統也!リーネちゃんかわいくない?!」


 姉が連れてきたのは、白いワンピースに赤いリボンを付けた清楚な服装をしたリーネだ。

 リーネは長い白髪なので、とても白い。だが、この姿を見てリーネが魔王の娘であると思う人物はいないだろう。


「トーヤ?」

「かわいいよ、とても」

「えへへー」


 どうやら、着せ替え人形になっている間も姉から日本語を少し教えてもらったらしい。「かわいい」だとかの言葉を誉め言葉であるときちんと認識しているらしい。


「どうやってこんな子捕まえてきたの!着せたい服いっぱいあるんだけどー!」


 姉が珍しくハイテンションだ。

 姉がハイテンションになるのは、こうして着せ替えするときと、姉の親友に関することだけだ。そのため、こうして目に見えてハイテンションなのは相当珍しい。


 姉って元気ではあるんだけど、ギャルってわけじゃないからなぁ…


「ありがと、スズ」

「どういたしましてー!」


 リーネが拙い言葉、俺が教えた数少ない日本語で姉にお礼を言う。

 あ、言い忘れていたが、姉の名前は林鈴。リーネの呼称はスズで落ち着いた模様だ。


 リーネの衣服に関しては、姉に任せておけば問題なさそうだ。しばらくリーネは着せ替え人形として働かなければいけないだろうが…まあ、それに関しては我慢してもらおう。


「それで、統也はこの子をどうするつもり?」

「どうって、どうもしないけど」


 女神様から連絡が来るまで家に置いておくだけだ。リーネをこっちにずっと置いておくわけにはいかないだろうし、帰らせなければいけない。

 もしリーネが何かの拍子で魔王としての力を発動したとき、俺一人ではこの世界を守れないのである。


「手を出すために家に連れ込んだんじゃないのー?」


 指で俺をツンツンする姉。うざい。


「こいつはまだ十五歳だぞ!」

「恋は年齢を超越するんだよ!」

「少女漫画の読みすぎだ!」


 そもそも、リーネはまだそういうところまで行っていない。異世界基準で言っても、十分な常識が身についているとは言えないのだ。

 それに、魔王の娘としての生態もよくわかってないしな。検査した感じ、人体構造は人間のものと酷似しているっぽいんだが…


 まあ少なくともリーネの母親は人間であるみたいだし、人間側の血が強く出てるってことでいいのかな。魔王の姿形だけは人間のものと似ていたし、リーネも人間とほぼ同じだとは思うんだけど、どうなってるかは分からないからなぁ…

 病院に連れて行ってレントゲンを撮ったら訳の分からない構造をしてたら嫌だなぁ…


「んー?」

「気にしないでいいよ」


 流石に理解できない日本語なので、リーネは首をかしげている。

 首をかしげるっていうのは、日本人がする動作だと思っていたんだけど、異世界にもあるのか?


「じゃあちょっと、リーネちゃんに着せる服買ってくるー!」


 もう夕方だというのに、姉は家から出て行った。いつ帰ってくるつもりなんだろう。


『かわいい服だねー』


 リーネは服を気に入っているみたいだ。俺はファッションセンス微妙だからなぁ…


 そういえば元々リーネが着ていた服はどうしたのだろう。筆談で、リーネに服のことを聞くと、向こうに置いてきたとのこと。

 一応異世界製の服であり、未知の材料とかはないとは思うけれど、見つかったらやばいかもしれないので回収してもらう。俺は姉の部屋に入れないので、リーネに持ってきてもらおう。


『任せて!』


 パタパタと走って行って、そして腕に服を抱いて持ってきた。


 聖女さんの加護みたいなのがかかってるはずだから、防御力は見た目以上にあるのだけど、如何せん現代服ではないからなぁ…

 シスターとかには見えるかな。でもまあこの服で生活するのもあれだし、俺の部屋に片づけておくか。


『聖剣も?』

「ん」


 俺の部屋には王様に押し付k…貰った聖剣がある。ぶっちゃけ、日本でこんなもん取り出したら一発アウトなので俺の部屋から持ち出すことはできない。

 リーネの服と一緒に箪笥の奥底に眠っていてもらおう。大丈夫だ、問題ない。警察に家宅捜索でもされない限りは。


『あれかっこいいのにー』


 どうもリーネは聖剣が気に入っているらしく、向こうにいた一か月の間に何度かリーネに聖剣を見せた。お前の父親はこの剣で殺されたわけだが…まあ父親との縁は血縁しかないみたいだし、別にいいか。

 この聖剣、刃こぼれしないとか魔物特攻だとか俺にしか扱えないだとか色々機能はあるのだけど…猶更こっちで取り出す必要はないな。


 もしゾンビパニックになったらこの聖剣を取り出すとしよう。もうバイオ〇ザードで怖がることはできないな。


「勉強を続けるか」

「べんきょー!」


 リーネが勉強に前向きなのがいいな。俺なんか多言語の授業は怠いが…でもまあ、異世界言語よりかは英語の方が学びやすいし、二学期はもう少し真面目に授業を受けられるような気がする。


 リーネに日本語を教えて、日常会話くらいはできるようになることが目標だ。女神様、早く連絡をください。

面白いと思ったら評価や感想をお願いします。リーネは基本的に白いのが好きです

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