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メダリストの変死体事件
二〇一八年七月六日、この年に開催された平昌五輪のスキージャンプ団体で金メダルを獲得した平井高雅が都内の自宅で死亡した。数日続けて電話に出ないことを不審に思った友人が交番に相談し、警察立ち会いの上で鍵を開けたところ、死亡した平井が発見された。
死斑や内臓の鬱血状態から、死因は窒息とされた。しかし首には紐などで絞められた痕がなく、水に沈められたような状態でもなかった。また、平井の自宅は間違いなく施錠されていた。
この不可能犯罪がもうひとつ世間を騒がせたのは、平井のメダルが割れていたことだ。向かって右下部分が四分の一ほど表面デザインを無視するように割れており、その割れた欠片は現在も見つかっていない。警察は自殺として捜査を打ち切ったが、インターネット上では何者かによる殺人を疑う声も多い。