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壁の向こう側

 今となっては昔のことだが、私の部屋は暗かった。光が届かないほど暗くて、身動きも取れないほど狭い部屋だった。狭いのは確かに堪えるが、暗いのは私にとって苦ではない。それより、私と壁を一枚だけ隔てたところにいた隣人の姿を想像するほうが、よっぽど恐ろしかった。


 最近は壁の向こう側に誰が住んでいるかわからないことが多い。例えば放火魔や殺人鬼が隣人だったら、私が標的にされてしまうかもしれない。あるいは、私を狙って隣にやってきたのかもしれない。その狂人は私の命を奪うために包丁を研ぎ、計画を練り、周到なアリバイ工作を用意する。


 そして隣人と私が出会ったとき、そのときが、私の最期なのだ。破滅の時なのだ。私はずっと、それに怯えて過ごしてきた。被害妄想、と片付けてしまえばそれまでだ。かかりつけの医者もそう言っていたのだが、当時の私には、とてもそうは思えなかった。

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