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21 ロイドside 1

 アネットが学院の門から出行くのを見つけたのは偶然ではなかった。

 僕はいつだって彼女を見ていた。突然貴族になってしまったアネットがいじめられていないか気にしていたからだ。余計なお世話だとはわかっていたけど、それでも気にすることをやめることはできなかった。

 僕はアネットを追いかけることにした。学院の制服を着た彼女はとても目立つ。何かあっては大変だと思った。

 アネットが侯爵家の令嬢だったと聞いたときのショックは今も残っている。

 セネット家の取り換えっ子の話はその前に聞いていたけど、なぜかそれがアネットのことだとは考えていなかった。よく考えれば『癒しの魔法』と似た魔法を使っているアネットが一番怪しかったのに、学院でアネットの姿を目にし、声を掛けに行こうとしたときに周りのうわさ話を耳にして初めて知らされたのだ。結局僕は彼女に声を掛けることができなかった。噂を聞いたからというのおあるけど、それだけではなくアネットがあまりにも変わっていたからだ。会えなかったのは二ヶ月くらいなのに、彼女は親しみやすかった庶民の娘ではなく、僕などが着やすく声を掛けることができない高貴な侯爵令嬢になっていた。

 それでも何度か声を掛けようとはしたのだ。でも足が動くことはなかった。

 沈んだ僕に神殿で出会った姉が心配して尋ねてきたので、アネットの話をするととても驚いた顔になった。

 

「まあ、セネット家の令嬢アネット様があなたの話してくれた娘だったといの?」

「そうなんだ。まさかアネットが妖精のイタズラで庶民の娘として暮らしていただなんてショックだよ」

「ショックですって? それどころではないわよ。彼女は聖女様になると言われているのよ」

「聖女様? 聖女様はまだ若いし、聖女候補はたくさんいいるじゃないか。どうしてアネットが聖女様になるのさ。聖女様になるには幼いころからこの神殿で暮らすことになっているんだろう?」


 聖女だなんて冗談じゃない。侯爵家の令嬢ってだけでも話しかけられないでいるのに聖女様になってしまえば見ることさえ出来なくなる。


「アネット様はあのセネット家のご令嬢なのよ。しかも彼女が使う『癒しの魔法』は今の聖女様が使う『癒しの魔法』と同等の力があるそうじゃない。神殿の中ではもう決定したものと考えられているわ。だって今の聖女候補の中にはそれほどの『癒しの魔法』が使える人なんていないもの。あっ、この話はタブーだから誰にも言ってはダメよ」


 知らなかった。

 アネットが聖女様と同じくらいの『癒しの魔法』が使えるってことも、聖女候補の『癒しの魔法』がアネットよりも劣っているということも全然知らなかった。

 聖女様がこの国にとってどんなに大事な存在か僕は姉からよく聞かされていた。慈悲深く優しい聖女様の話はこの国に住んでいることが誇らしくなるようなものだった。

 その聖女様にアネットがなる? 

 僕という存在は彼女の邪魔にしかならないのではないか。

 彼女を助けたい。彼女の力になりたい。ずっとそう思っていた。一緒に暮らし、彼女の家族も助けていければいいなとか夢のようなことばかり考えていた。

 でも今の僕は彼女足を引っ張る存在でしかない。彼女の本当の家族であるセネット家は僕の助けなど必要ではないだろう。

 姉の話を聞いた僕は彼女をあきらめなければならないことを察した。

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