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  ロイドと再会できたのは学院に通いだして二ヶ月くらいたってからだった。

 それも結局アオに手伝ってもらったからだ。どうやら私はロイドに避けられていたらしい。


「本当にここで待っていればロイドが現れるのね」

『昼休みは毎日ここで過ごしているから間違いないわ』


 アオが何故協力してくれるのか気になるけど、それよりも今は久しぶりにロイドに会えることで気分が高揚している。

 私は木の陰に隠れる。


『何をしているの?』

「何ってわかるでしょう? 隠れているのよ」

『だからぁ、どうして隠れるのって聞いているのよ』

「もう黙ってて。ロイドに声が聞こえるでしょ」

『何を言ってるの? 私の声はあなた以外には聞こえないし、姿だってあなた以外には見えないわ。はっきり言えば今のあなたは独り言を言ってる変な人に見えるわね』

「え~! でも兄さまにはあなたの姿が見えていたし声も聞こえていたわ」

『あの時と今では違うの。少し油断してたのよ。今は姿消しの魔法を使っているからあなたにしか声が聞こえないし姿は見えていないわ。だから変な人だって思われたくなかったら声を出さないで話をしたほうがいいわ』


 ふ~ん。まあいいわ。いまはそれどころじゃないもの。ロイドはいつ来るのかしら。

 この中庭は授業を受けている建物とは離れた場所にあるからか、人がいない。辺鄙な場所といえる。ここにロイドはいつも来ているらしい。

 昼休みには私に会いに来てくれるって言ってたのに、こんな場所でいったい何をしていたの?

 そして私は何故隠れているのだろう。自分でもくわからないけど、なんとなくこうしたほうが良い気がしたのだ。

したのだ だってもしかしたら誰かとの逢引きのためにここにきているのかもとか思うでしょ。そもそもアオが素直に協力してくれているのがすごく怪しいのよね。


『まあ、失礼ね。私のことそんな風に思っていたの?』

「な、な、私の考えていることがなんでわかるのよ」

『それくらいわからないようじゃぁ、妖精は勤まらないわ』


 え? 妖精って職業なの? 違うでしょ。


(まあ、いいわ。でも私の言ってることに間違いはないはずよ。おもしろいことしかしないアオがこの場所をおしえてくれるってことは何かあるんでしょう?)


『ふふふ、やっぱりアネットは面白いわ。まだまだ話をしていたいけど残念。ロイドが来たわ』


 えっ!

 ロイドが? どこ?

 あっ、いたわ。


 見える場所にロイドが立っていた。どことなく表情が暗い気がするけど、ロイドに間違いなかった。

 誰か他にも表れるのかと思って待っていたけど、ロイドは一人だった。ベンチに座ってパンを食べている。こんな場所で毎日昼食をしていたの? それなら私も誘ってくれたらよかったのに。

 私は深呼吸をしてロイドに声を掛けるべく木の陰からそっと出た。






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