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13 ロイドside 1

 僕の名前はロイド・マーティン。子爵家の三男だから、継げる爵位がないので将来は自分で身を立てるしかない。応急で文官になるか、武官をめざすか。剣を習ってはいるが才能がないことはわかっている、魔法にしても秀でる程ではない。では文官か? 

 三男は気軽でよいと長男であるユリアンはことあるごとに、愚痴ってくるが僕からすれば継げる家があるほうが接待に良いと思う。

 聖女様のもとで働いている姉のもとへ届け物をするのは暇を持て余している僕の役目だった。姉は僕のことを不憫に思うのかいつもポーションを分けてくれる。聖女候補様が作られたポーションは安く買えることができるらしく冒険者活動をしている僕を心配してか会うたびに渡してくるほどだ。


「ロイドは将来何になるのか決めたの?」


 姉は会うたびに僕の将来のことを聞いてくる。初めに聞かれたときは騎士になりたいとか、魔術師になりたいとか大きなことを語っていたけど、最近の僕は自分のことが分かってきたので答えに悩んでいる。


「まだだよ。何になりたいかってことより、何になれるかで考えているんだ。だってどれほどなりたいものがあっても、才能がなければ無理だからね」

「まあ、才能が歩かないかなんてまだわからないでしょう? ロイドはまだ若いのよ。今から急成長するかもしれないじゃないの」


 それはない。才能のあるものは僕くらいの年齢になるころには才能を発現させていて有名になっている。

 僕は凡人だ。そのことに疑問の余地などない。でもそのことで不貞腐れたりはしない。だって有名になれるものの方が少ないのだ。凡人だって必要な存在なんだし凡人なりに頑張っていくつもりだ。


「姉さん、僕に才能がないことは自分でよくわかっているよ。でも僕なりに頑張っていくつもりだよ。将来は小さな家に奥さんと子供二人くらいで暮らしていけたら幸せだなって思っているよ?」

「まあ、その年でもう達観しているのね。で? 奥さん候補はいるの?」


 姉さんに聞かれて僕はちょっと赤くなったと思う。そう、僕はこの年にして、もう奥さんにしたいなって考えている人がいるのだ。とても綺麗な人で、家族のことを一番に考えている姿は聖女様のような優しさがあると思う。


「あら、その顔はいるのね。どんな娘さんなの? 私の知っている方?」


 彼女のことは誰にも話したことがない。それは彼女が僕とは違う身分の者だからだ。僕は気にしないけど庶民と結婚するなどと言えば反対する者もいるだろう。

 今はまだ話す時ではない。自分がもっと成長しなければいけないことはわかっている。


「あら? 話せない相手なの?」


 僕が渋い顔をしていることに姉はすぐに気づいた。そして姉はとても察しが良い。


「まさか庶民なの?」

「うっ…、まあ」


 そして僕は姉に逆らえない、というか逆らわないように育てられてきたので、姉には従順だった。僕は彼女との馴れ初めから話すことになったていた。





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