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プロローグ

 お昼寝から覚めて、お母さまを探していた。

 大好きなクマのぬいぐるみを抱きしめて、広いお家を歩き回る。


「おかあさま」


 お母さまを呼びながらうろうろしていると、メイドの一人に会った。

 メイドは、目が覚めたのですね? と、笑いかけてくれたので、頷き返す。

 奥さまは、あちらですよ。と、手を繋いでメイドは案内してくれる。

 お母さまは、部屋にいた。

 とても、優しい微笑みを隣にいる人に向けている。


「おとうさま」


 いつも忙しいお父さまが、お家にいる!

 嬉しくてメイドに導かれるままお部屋に入ると、二人は笑顔を向けてくれた。

 優しい笑み。

 大好きな、笑顔。

 でも、並び立つ二人の姿に、何か不思議な気持ちになった。

 わたし、知ってる。

 お父さまとお母さまが、こちらに向かって微笑む姿を、見たことある。

 すちる、で見た。

 ……すちる?

 すちる、て何?


「アリシア、お目覚めしたのね」


 お母さまが名前を呼んでくれる。

 アリシア。わたしの名前。

 そう、お母さまとお父さまがわたしを呼んで。

 そして、微笑み合って……終わるの。

 えんでぃんぐが流れて、とぅるーえんどになる。

 あれ? それって、何?


「アリシア?」


 お父さまが、呼んでる。

 返事しなきゃ。

 でも、頭が痛い。すごく、痛い。


「お嬢さま!?」


 するりとメイドから手を離して、わたしは倒れてしまった。



 『ティアーズ・メイデン』。

 私の大好きな、女性向け恋愛ゲームだ。

 ファンタジーな世界観で、主人公は普通の村娘だった。

 だけど、ある日。村に魔物が現れ、主人公は魔物を浄化する力に目覚める。

 主人公は、浄化の力を持つ女性が集められた『乙女の園』に招かれ、そこで人々を癒すことになる。

 『乙女の園』で過ごす内に、主人公は守護を任された騎士や、神官と恋に落ちるのだ。

 そして、主人公のデフォルトネームは、エティア。

 私のお母さまの名前と同じ。

 恋の相手の一人である騎士に、ラティスという人物がいる。お父さまと同じ名前。

 そして、二人とも外見も同じ。

 お母さまは、『乙女の園』の癒し手だ。

 お父さまは、『乙女の園』の守護騎士。

 そして、先ほど目にした場面は、ゲームのトゥルーエンドのスチルだった。


 アリシア、三歳。

 元日本人。

 どうやら、主人公の娘に転生したようです。


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