君達に感謝を伝えたくて
今回は、前回と比べて少し話が長くなった気がします。そこんところもご意見ください。
試合が終わったり俺たち北中は負けた。キャプテンとしてどうしたらいいのか分からない。ただ呆然と立ち尽くしていた。視界の中にあったのは喜び合う東中だった。
「やったー!俺たち勝ったぞー。」「イェーイ大勝利ー」「うぅぅ、やばい、俺泣きそう。」「安心しろもう泣いてる。」「本当に俺たちが勝ったのか?信じられない…大翔、ほっぺつねってくれ…いてててて、痛い痛い、分かったからもう止めてー。」「皆さーんキャプテンを胴上げしましょー。」「恥ずかしいから止めろ。あと、そろそろ主審に怒られる。」
試合終了のホイッスルの後、まるで優勝でもしたかの様なはしゃぎっぷりの東中、年相応の中学生らしい反応だがさっきの試合の後だと違和感しか無い。
それよりもこっちの落ち込み様も大変なことになっている。みんな顔には出さないが明らかに動揺していた。俺だってその内の一人だった、格下と思っていたチームに負けたのだから。
ここで負けても俺たちの決勝リーグ進出は変わらない…ここで勝っても東中が決勝リーグに行ける訳ではない…何故?
そんな思考を巡らす中、不意に後ろから肩を叩かれた。
「おいおい、キャプテンのくせになーにボーっとしてんのさ。見っともないたらありゃしない。それに、あいつら大会の結果よりも俺たちを倒すことを目的としててみたいらしい…」「おいっ!烏丸!それってどうゆう…」
「ねーねー、そこの1番君と10番君話があるんだけど今空いてる?」
振り返って聞き返そうとした時にはもう居なかった。
あのチームを引っ張っていたのも、あんな計画を立てた首謀者も、あの二人…水倉と大柴だったという事は大会の一ヶ月後に知った。
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忘れもしない、ちょっと天パー気味の真っ黒な髪と短く切られた透き通る様な白い髪が対極に見える二人組。
そして今、あの二人が目の前にいる。
「やっと見つけた…。君ら、東中の大柴君と水倉君だよね?」
「そうですけど…」「そだよー、それで君は?」
「そういえば名乗っていなかったな、俺の名前は…」
「北中の浅葱 廻斗君だろ?…知ってる」「えっ!?翔ちゃん知り合いなの!?」
俺が答えるよりも先に口を開いたのは大柴だった。隣で驚いている水倉はほっといて彼は、俺のことを覚えているのか…?いや、知ってるだけなのか?
「その制服の襟に付いてる校章、北中のだろ?それに関東大会3位のチームのキャプテンで、県の選抜にも選ばれているよね?。ここらへんでは有名だよ。勿論、夏の大会で試合もしたしね。」
笑顔でさらりと返して来た。なんか、とてもスマートな印象を受けた。しかも「それよりも…」と話しを続けて来た。
「何でこの学校を選んだの?君なら県内でももっと有名な学校に進学出来ただろ?」
「あー…。ちょっとした事情でねー…。ハハ、それより君たちは何故この学校を?」
勿論、事情というのは半分嘘だ。バレると面倒なこともあるからな。伏せさせてもらった。
「えっと…。大会が終わって三年生は引退なんだけど、すぐに勉強なんてする気にならなくて、ここからほど近くの河川敷にグラウンドがあってそこで水倉と一緒にボールを蹴っていたら下羽高校のサッカー部の去年一年生って言ってたから…つまり今2年の先輩達に誘われたから。」
「ふーん。すごいなー。それってつまりはスカウトってことだよね。やっぱり凄いんだな君達二人。」
「あっ!それよりも俺たちにわざわざ声かけてくれたのって何か用事でもあった?」
「そうだった。君達、いや東中のみんなに感謝を伝えたくて」
「いやいや、感謝なんてされること俺ら何にもしてないって。」
大袈裟に手を振りながら答える大翔君。でもこれだけは伝えたい。
「俺たち北中を倒してくれてありがとう。」
おもいっきり頭を下げた後、とてもスッキリした気がした。
「はっ?!」
やっと回想が終わりましたけど、実はまだ入学式をしてないという事実。なんとかせねば(使命感)




