ディシプリン
開いていただき感謝です。今回はとても長ったらしいですが、最後まで読んでくれたら嬉しいです。
「あれは、本当に中学生なのか? あんなのは、学生が容易に出来るはずがない。しかも1、2生がそれを受け入れている…。」
前半が終わりベンチに戻って来た、俺たちは監督に、てっきり怒鳴られると思っていた。しかし、監督は一人で唸り続けていた。
そして、ようやく決心したのか立ち上がり皆んなの前に移動し話し始めた。
「後半始めからフルメンバーで行くぞ。全員準備しとけ。」「ハイッ!」っと揃った返事。そのあとに続けて、監督は少し眉をひそめながら後半の作戦を語り始めた。
「相手ががっつり引いて守ってくる様ならペナルティエリアの外からフリーでシュートが打てる。相手は、1、2年生も混じっているからで高さや、フィジカルで押していくのもありだ……先制点を取れば流れは一気にこっちが有利になる。落ち着いて点を取っていこう。」「ハイッ!」
ハーッと溜め息を吐く監督。「どうしたんですか?」と唯一の2年生盛田君が尋ねる。
「ディシプリンが多過ぎる…。ここまでやる中学生は異常だ。」
「あのー監督、そのディシ…なんとかってのは何ですか?」
「disciplin だ。チームを統制する規律や約束事だ。『オフサイドは取らない』『迷ったら外に出す』『ペナルティエリア内のドリブル突破をさせない』『CFのターンはさせない』『サイドは、えぐられても中で止める』少なく見積もっても20以上はあると考えても良い。何よりも……」
「『質と量が中学生のレベルじゃない』ですよね?監督。」背後でアップのストレッチをしながら、北中のエース烏丸君が突然口を開いた。
「ああ…そういうことだ。まだ、何かあるかもしれない…警戒してくれ。」
「へいへい、りょーかいりょーかい。さて、やりますか…。」
そして、笛の合図と同時に運命の後半が始まった。こっちは前線の選手3人を一気に交代させ本気モード。対して東中は交代なし。
早速一人がうちのエースをマンマークした。が、そんなのお構い無しに次々とチャンスを作り出す、流石うちのエースだ。あとは時間の問題とでも言われそうなくらいに押していた。後半だけでシュート数は、20を超えていた。
後半も残り時間が少なくなってきたころ、試合の最初からずっとパスコースを限定するために走り続けていた相手の15番2年生の菊池が交代し、17番1年生の三津穴が入って来た。
交代から約1分後、1年生三津穴のチェックが甘いのを見逃さず烏丸がペナルティエリアの外、少し右に寄った位置で一瞬だけフリーになる。その一瞬を見逃さずパスを受け、左足から放たれたシュートは真っ直ぐにゴールの左上の角に向かっていった。
どっと歓声が湧くベンチと応援席、しかしキーパーが横っ跳びからのファインセーブでなんとかCKに逃れる。
何か引っかかる…何故これだけの守備を他の試合ではせずにこの試合だけやっているのか?確かにうちのチームに対して全員守備をやってくるチームはある。だが、所詮は付け焼き刃で結局何処かで綻びが生じてゴールになる。それに、さっきからずっと相手の10番の水倉がそわそわしていて落ち着きがない…
思考を巡らしながらコートを見る、左のコーナーから放たれた球はゴールに向かって巻かれ、競り合いを制したキーパーによってしっかりとキャッチされた。
その瞬間、風が通った。否、人だ、しかも水倉だ。「まさかっ!」気付いた時にはもう遅かった、キーパーから放たれた低く、速い球は水倉の方へと飛んでいった、ワンバンし水倉の手前に転がった。
水倉がハーフラインを超える直前に蹴られた、完璧なタイミングだったのでオフサイドには期待出来無い。
キーパーとの1対1だ。しかし、うちのキーパーの飛び出すタイミングも素晴らしい。現にトップスピードでボールを受けた水倉は目の前のキーパーを躱しきれない、さらにシュートコースもない。止めたと確信していたが、水倉は左足でシュートと見せかけて右側にボールを出した。
そこには、誰もいなかったはずだった『何故、17番がいる?』
走り込んで来た17番は、足を伸ばしボールをしっかりとトラップすると、ゴールへパスを出すかの様に優しいインサイドキックをし、放たれたボールはゴールラインを割りネットにあたり「ポスっ」と力の無い音がした。
そして、その数分後に試合の終了を告げる笛が鳴った。
やっと試合は、終わったけどまだ回想は終わりません。次でしっかり回想を終わらせられたらいいなー。
今回やたらと長くてすみませんでしたー。




