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イザナギノミコトの禊(みそぎ)
この国が葦原の中つ国と呼ばれていた遥か昔、イザナミノミコトは火神カグツチを生んだとき、熱に焼かれて死んでしまった。
夫、イザナギノミコトは、愛しい妻、イザナミノミコトを尋ねて、あの世、つまり黄泉国に行った。
そこで、「私を見ないでください」と言うイザナミノミコトの言葉に従わず、その姿を見てしまったイザナギノミコトは愛しい妻の変わり果てた姿に驚き恐れて逃げた。
「私に恥をかかせた」と怒ったイザナギノミコトが放った醜女等の追っ手を振り切って、黄泉国とこの世の境界にある黄泉平坂を大岩で塞ぎ、黄泉国への道を絶った。
そして、黄泉国の汚れを祓うため、筑紫の日向の檍原で、海に沈没して禊を行なった。
その時、天照大神、 スサノオノミコト、月読尊がうまれたが、それと同時に、底津綿津見・仲津綿津見・表津綿津見の三神が生まれた。
「この三柱の綿津見の神は阿曇連等が祖神として斎く神なり。かれ阿曇連等は、その綿津見の神の子宇津志日金析命の子孫なり」と太安万侶は「古事記」に書き残している。