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「そんなのっ…勝手過ぎるわよ! アタシのことさんざん甘やかしといて、手に負えなくなったらポイ捨てするの?」
「勝手は分かっているさ。でもお前には何度も忠告した。だが返事ばかり良くて、お前は何も変わろうとしなかっただろう?」
「変わったじゃない! 真面目になったわよ!」
「それも今だけだろう? 時が経てばお前はまた同じことを繰り返す。それはクセというより、病気だ。だから突き放す。それがその病気を治す、一番の薬だと思ったからな」
「ヒドイ…!」
「恨んでくれて結構。オレ達も同じ強さでお前を恨んでいるからな」
涙を流しながら睨まれても、すでに罪悪感など感じない。
「今後お前がどんなバカをやらかそうとも、オレ達は一切関与しない。だから好き勝手に生きるといい」
「何で…和城がそんなこと言うの?」
「オレが一番強く思っているからだ」
弱っていく仲間を見るのは辛かった。
自分がどんなに責められようとも、仲間の苦しむ姿を見続けるよりマシだった。
そもそも利実をグループに入れることを許可したのはオレだった。
全てのはじまりは、オレの責任だと言える。
「何でっ…。あっアタシはずっと…」
利実は強く手を握り、顔を上げた。
「ずっと和城のことが好きだったのに!」
「はあ?」
「ずっと…高校に入ってから、和城を一目見て好きになったの! だからグループに入りたかった!」
また唐突な話だな…。
軽い頭痛がしてくる。
「アタシのこと見てほしくて、一緒にいたのに!」
「一緒にはいただろう?」
「それはグループの仲間としてじゃない! アタシと2人っきりで会ってはくれなかった!」
確かにそれは言えてる。
オレはそもそも女という存在が苦手だった。
キライではない。苦手なんだ。
だから利実に関わらず、女と2人でいることはできなかった。
「だからっ…だからバカなことをし続けた! そうすればその時だけは、あなたはアタシのことを思ってくれるからっ…!」
「でもその感情は負のものだ。それで満足してしまった時点で、恋愛感情じゃなくなったんじゃないのか?」
「そっそれは…!」
言葉に詰まるところを見ると、利実も少しは感じていたらしい。
振り向いてくれないオレに対し、憎しみを抱いていることを。
「お前のオレへの気持ちに気付けなかったことは素直に謝る。…だがそれとお前の仕出かしたことの重さは全く違う」