4
そこで注文の品が来たので、とりあえず食べることに専念した。
食事は美味しくいただいた。
その後、まだ時間があったので、出店を回っている二人と合流して、いろいろ見て回った。
しかし平穏な時間はすぐに終わりを告げる。
突然、怒声が響いてきたのだ。
驚いて周囲を見回すと、オレ達のグループの女性達が騒いでいた。
しかも利実と、ノイローゼになっていた二人の女性が、だ。
もう1人はオロオロしている。
オレ達は慌てて四人の元へ行った。
しかし2人の女性は半狂乱になっており、手が付けられなかった。
「とりあえず、2人はバスに戻そう。僕達と席を交換して、さ」
「あっああ、そうだな」
孝一の言う通り、2人をバスに戻した。
「一体どうしたんだよ?」
2人は泣きじゃくってばかりで、まともに答えられない。
けれど何とか言葉をしぼり出した。
その言葉は2人を狂わせるのに、充分な効果を発揮していた。
オレは何とか2人を落ち着かせ、孝一の所へ戻った。
「他の四人は?」
「トイレに行ったよ。それよりどうしたんだろうね?」
「アイツらからは聞かなかったのか?」
「聞ける雰囲気じゃなかったよ」
2人とも重く・暗い空気をまとっていて、声もかけずらかったらしい。
「まっ、しょうがないか」
「そっちの2人は?」
「何とか落ち着けた。それに話も少し聞けた。…利実のヤツ、戻りたいと言ってきたらしいな」
「ああ…やっぱり」
孝一は想像していたらしく、深くため息をついた。
「それでああなったワケだが、随分とふてぶてしくなったもんだな。利実は」
「真面目になった様子を見せて、何とかなると思っていたんだろうね」
「…もうそこまで甘くはできないんだがな」
オレも思わずため息が出る。
もうグループに戻ることはできないのだ。
アイツは調子に乗り過ぎた。
いくらオレ達が原因でも、あそこまでの暴走は利実自身に問題があったからだ。
自業自得。
これ以上関わっては、オレ達の方が持たない。
「やれやれ…。二泊三日の旅が、いきなり前途多難とはな」
「そうだね」
「まあ利実にはオレの方から言っておくわ」
「えっ、いいよ。僕の方から…」
「アイツが泣き落としをしたら、やられそうだからダメだ」
「ぐっ…」
「気にすんな。オレにはアイツの武器は何一つ通用しないだけだから」