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いったん、仲間全員と集まった。
ここは店が多く、食事ができる店も5軒もあった。
それに出店もあり、いろいろと楽しめる。
女性達は地元の食材で作られる料理を求め、レストランを選んだ。
男2人は出店を回りたいと言った。
オレと孝一はあっさりした物が食べたくて、和風喫茶店に行くことにした。
「2人で食事するのも久し振りだな」
「そうだね。でも和城、こっちでよかったの? 本当は出店を回りたかったんじゃない?」
「出店は祭りとかで充分だ。それよりここの茶蕎麦、この間見ていたテレビで美味いって紹介されてたんだ。食ってみようぜ」
「はいはい」
オレ達は茶蕎麦と天ぷらのセットを頼んだ。
窓際に座ったので、外で出店を回っている二人の姿が見られた。
「…アイツらも楽しそうで良かった」
「えっ? …ああ、そうだね」
オレが見ている方向へ、孝一も視線を向けた。
「和城ってさ、結構気を使うよね」
「そうか?」
「うん。昔から僕に合わせてくれること多かったし」
「大勢と何かを合わせるのがキライだっただけだ。孝一は一歩ズレてたしな」
「それも子供時代の話だろう?」
「だな」
顔を赤らめて恥じる孝一を見ていると、子供時代に戻ったみたいだ。
コイツとは家が隣だったら、昔から一緒にいた。
それこそ空気みたいなもんで、近くにいないと落ち着かない。
グループになっても、孝一とはずっと一緒だった。
でもだからこそ、思うこともある。
「…なあ孝一」
「ん?」
「オレがグループを作ったこと、そしてお前を有無を言わせず引き入れたこと、恨んでいるか?」
「…はっ? また何をバカなことを唐突に言い出しているんだよ?」
「お前結構ハッキリ言うよな…」
オレは遠い目をして、親友を見た。
「いくら僕が気が弱くても、嫌なことは嫌だって言うよ。それにグループは楽しい。そこへ入れてくれたことを感謝こそすれ、何で恨むんだよ?」
「だってお前に一言も言わず、入れたしさ」
「入れたって言うより…。和城の回りに人が集まって、今のグループになったんだろう? だから僕は最初からいたんだよ」
「まあ、な」
「だから別に不愉快じゃないよ。みんな、良い人だしな」
…そう言うわりには、どこか苦笑じみている。
やっぱり利実のこと、か…。