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「大丈夫、女性組も買ってたから。…もちろん、利実ちゃん抜きでね」
「ははっ、そりゃいいや」
女性組も買っていたとなれば、言い訳もつく。
買っているのを見て、自分達も欲しくなったのだと言えば、深くは追求してこないだろう。
「はい、和城の分」
「ありがとう」
オレは素直に受け取って、自分のケータイにつけた。
それを見て、孝一も自分のケータイ電話にストラップをつけた。
「おそろいだね」
「だな。あっ、いくらだった?」
「いいよ。コレは僕が和城に渡したかった物だから」
「そうか? んじゃ、後でオレが買った土産のまんじゅう、やるよ」
「ありがとう。…でも食べられないんだ」
「うん? まんじゅう嫌いだったけ?」
「いや、甘い物は好きだったよ」
孝一はストラップのついたケータイを、大事そうに見つめ、ポケットにしまった。
「でも食べられなくなってしまったんだ。ゴメンね」
「いや、いいよ。じゃあ旅行が終わったら、どっかに出かけようぜ? オレの奢りで遊ぶんだ。二人だけで遊びに行こう」
「…ゴメン」
でも孝一は笑顔で謝ってきた。
何だろう?
何かがおかしい。
「孝一?」
思わず不安になって、孝一に向かって手を伸ばした。
だが孝一は立ち上がり、オレの手は空を切る。
「ゴメンね、和城。もう時間みたいだ」
「あっああ、バスが動くのか? なら、座れよ。あっ、今の内に席を…」
…そこまで言って、オレは異変に気付いた。
オレは、イスから、立ち上がれない。
まるで体がイスに縫い止められているかのように、離れないのだ。
「あれ? オレ、大分疲れたのか?」
「そうだね。もう少し、ゆっくり休みなよ。その間にきっと回復するから」
「そっそうだな」
「あと僕は…もう行くね」
「えっ?」
驚いて顔を上げると、孝一は泣きそうな微笑を浮かべていた。
「僕は行かなきゃいけない。でも…このまま1人では行けない」
固く決意した表情で、孝一は後部座席に向かって歩き出した。
「おいっ! 孝一、待てよ!」
やっぱりおかしい…!
これだけ大声を出しても、誰一人動いていない!
オレは必死に首だけを動かす。
すると孝一はすぐに戻って来た。
その両腕に、利実を抱きながら…。
利実は眠っているようだった。
孝一にお姫さま抱っこをされていても、利実は何の反応もしない。




