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「僕はね、本音を言えばグループってあんまり好きじゃなかったんだ」
「おいおい…」
今、ここで言うことか?
下手すら連中に聞こえるぞ?
「でも和城が楽しそうだし、彼等は僕にも優しかったから、居心地は良かった。それは変わらないよ」
「そっか。なら良いんじゃね?」
「うん。でも正直なところ、僕はキミと2人だけでいたかった」
「…何言ってんだよ?」
「2人だけでも充分に楽しかったんだよ。和城は僕にとって、ヒーローみたいなものだったからさ」
そう言って照れくさそうに笑われると…オレも照れる。
「僕の世界に光をくれた人、明るくしてくれたんだよ。キミはね」
「そっか」
「うん。だから昨夜の誓いは本当に嬉しかったんだよ」
「オレだってその…」
孝一ってこんなに話すヤツだっけ?
いや、元々オレには話すヤツだったが、こうも自分の内面的なことを、打ち明けるヤツではなかったんだが…。
オレは夢でも見ているんだろうか?
ふと窓に視線を向けると…何だか景色がおかしい。
霧が外に充満している。
…帰るルートに、霧深い所なんてあったか?
これじゃあ視界ゼロに近い。
「…なぁ、何か外おかしくないか?」
バスが動いている振動もない。
本当に止まっている。
「ああ、この霧だからね。バスが止まっているんだ」
「あっ、そうか」
考えてみれば何てことない。
「霧の異常発生か?」
「うん、そうだね…」
孝一がどことなく、物悲しそうに言った。
「あっ、そうだ。さっき土産物屋で面白いもの買ったんだ」
孝一は服のポケットから、小さな紙袋を取り出した。
「何買ったんだ?」
「トパーズのケータイストラップ」
袋の中から1つ、黄色の石が付いたケータイストラップを出した。
「トパーズって確か、パワーストーンだったか?」
「そうだよ。トパーズの石言葉って知ってる?」
「いんや」
言葉と共に、首を横に振ってみせる。
「友愛・潔白・友情・希望・名誉」
「よく知っているな」
「パワーストーン付きのケータイストラップ売り場だったからね。石言葉の説明書があったんだ」
「なるほど」
「このトパーズに、昨夜の誓いがピッタリだなと思って、おそろいで買ったんだ」
袋からはもう1つ、ストラップが出て来た。
「おいおい…。女性組にからかわれるぞ?」




