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利実と孝一、そして男2人がトイレに行った。
オレは残りの女性3人と共に、バスに戻る。
誰も戻って来ていなかったので、それとなく、利実のことを聞いてみた。
女性3人も何となく、利実の焦りを感じていたらしい。
でも態度や言葉には一切出さずにいるので、今の所は…という感じだった。
とりあえず最後まで気を抜かないようにと言って、オレは席に戻った。
やがて男2人が戻って来たものの、孝一と利実は一緒じゃなかった。
すると孝一が利実に呼ばれて行ってしまったのだと、不安顔で言った。
オレはすぐに立ち上がり、トイレに向かった。
しかし孝一と利実は近くにいなかった。
「どこに行ったんだ! アイツら」
まさか最後の最後で孝一を頼るなんて思わなかった。
でも考えてみれば、最初から利実は孝一を頼っていた。
だとすれば、最後に孝一を頼る事だってあるはずだと気付くべきだった。
2人が話をする場所…人がいない所を選ぶだろうな。
利実は自分を逆上しやすいタイプだと理解しているし…!
かと言ってそんな遠くへは行けないはずだ。
だとすれば、トイレの裏か!
オレは急いでトイレの裏に回った。
すると2人は本当にいた。
人がたくさんいる表側とは違い、裏は静かで人気が無かった。
しかし突然、利実が孝一に抱き着いた。
「なっ!?」
そしてそのまま利実は背伸びを…って、マズイ!
「利実! お前何をやっている!」
声を出すと、二人はハッとしてこっちを向いた。
そして孝一が利実を突き飛ばした。
「きゃっ!」
「『きゃっ』じゃねーだろ? 昨日まではオレで、今度は孝一狙いか? それとも色仕掛けで孝一を利用したとしたのか?」
利実は突き飛ばされたものの、多少よろけただけだった。
すぐに顔を上げ、醜く笑う。
「…別に。アンタにはもう関係ないでしょ?」
「旅行が終わるまでは、口出せる立場だと思うがな」
孝一の腕を掴み、自分の背に隠した。
「和城…」
「くっだんねーことに、コイツを巻き込むな。いくら女だからって、容赦しねーぞ?」
怒気を含んだ眼で睨むと、利実はたじろいだ。
「ふっフン! くっだんない!」
そう言い捨てると、踵を返して表側に行った。
「はぁ…。…一体全体何でこうなったんだ?」
オレは深く息を吐くと、振り返った。
孝一は気まずそうな顔をしている。




