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「でもあの後どんなに飛び移っても、平気だったろ」


「まあ、ね」


しこたま怒られたものの、オレは塀を登って、木に飛び移ることを止めなかった。


そのまま孝一の部屋のベランダに飛び降りれば、いちいち玄関を通る必要が無くなったからだ。


手間と時間を省くために、オレは今でもそのやり方だ。


まあ子供の時と違って、体格も大きくなったし、運動神経も上がった。


なので今は自分の部屋の窓から隣の木に飛び移れるようになったが…。


「今じゃ僕1人が心配しているワケだね」


「いい加減、オレの運動神経を信じろよ」


「信じてはいるけど、それとこれとは別だよ」


「んなもんかねぇ」


「そうだよ。和城は案外無防備だから、不安になるし、心配もしてしまうよ」


そんな落ち込んだ顔をさせるほど、オレって無防備だろうか?


「和城はなまじ頭も良いし、運動神経も良い。それに加えて顔立ちも整っているのに、どこか抜けている。それが心配で、僕はキミと一緒にいるかも」


「なっ!? お前の方がオレより弱いじゃねーか!」


「腕っ節ではね。でも人の心とかは、キミよりは分かるつもりだよ。鈍いところもあるから」


「うぐぐっ!」


たっ確かに利実の気持ちに気付かなかったのは事実だが、ここまで言われることか!?


「そっそれでも孝一がオレの側にいれば、良いだけの話だろう?」


「僕が? …それでもいつまでもいられるワケじゃないよ?」


「別にいいさ。いられるだけでも良いから、オレの側にいて、支えてくれよ。変わりに他のことからは、オレがお前を守ってやるから」


「和城、その言葉…」


目を見張った孝一は、次の瞬間ふき出した。


「女の子には言わない方がいいよ? まるでプロポーズの言葉みたいだ」


「んなっ!? お前は男なんだから、親友の誓いだと思えっ!」


「そうだね。それじゃあ」


孝一はビールの缶を上げた。


「僕はキミを、全力をもって支えるよ」


オレもビールの缶を上げた。


「オレはお前を、全力をもって守る」


二つの缶が重なった。


あんまり良い音はしなかったけれど、それでも2人の心が重なった気がした。


「じゃあこれからもよろしく、和城」


「ああ、頼むぜ。孝一」


乾杯して飲んだビールは、今度は甘く感じられた。


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