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声に重みを加えると、利実の肩がびくっと震えた。
「結局、オレへの打ち明けられない思いの果ての行動だとしてもだ。仲間をも巻き込む必要はなかっただろう?」
「でもっ!」
「でもじゃない! お前はオレの大事なもんを傷付けた! 謝ったって許されるもんじゃないと、いい加減分かれ!」
「じゃああなたは分かっているの? 振り向いてくれないあなたをずっと思い続けたアタシの気持ちが!」
「それは理解したくないし、しようとも思わない」
「ヒドイ…」
「ああ、オレはヒドイ男なんだ。だからオレのことなんざすぐに忘れて、お前を大事にしてくれる男を見つけろよ」
「くっ…!」
利実の目から、次々と涙が溢れ出す。
でもオレはその様子を見ているだけだ。
利実は手で何度も涙を拭っていたが、突如オレを睨み付けた。
「…恨んでやる! アンタ達をずっと、永久に恨んでやる!」
「どうぞ、好きに恨むといい。だが、恨むのはオレ1人にしとけ。アイツらは関係ないだろう」
「こんな時にカッコつけるなんて、サイテーね」
「んなつもりはねーよ。オレは自分よりも、アイツらが大事なだけだ。お前よりも、な」
利実はギリッと歯を食いしばった。
「…じゃあアンタだけ恨んでやる」
「ああ、そうしてくれ」
「大ッキライ!」
利実は最後にそう叫ぶと、旅館の方向へ走り去って行った。
「やれやれ…」
どっと脱力感がきた。
体が重く感じて、近くの木に寄りかかった。
「お疲れ様、和城」
「うをっ! 孝一、何でここにっ!」
木の影から、孝一がひょっこり顔を出した。
「2人がこっちへ行くのを見かけて、こっそり追いかけてきたんだ。ここに隠れた時には、2人とも言い合いをはじめてて、注意がそれていたから…」
隠れて盗み聞きができたってワケか…。
「でも和城、本当に彼女の気持ちに気付いていなかったの?」
「お前は気付いていたのかよ?」
「割と早く…。彼女がグループに入って、1ヶ月ぐらい経った時だったかな? やたらと和城に話しかけるし、甘えたがっていたから」
「チッ。なら言えよ」
思わず舌打ちしてしまう。
「だって和城、恋愛苦手だろう? 言えば妙に緊張するんじゃないかって、思ったんだ。気まずくなるの、望まないだろう?」
「うっ…! まっまあな」
確かに当時、そんなことを言われたら、気まずくなっていただろう。




