新しく入ってきた女の子
その女の子、仁田利実がグループに入ってきたのは、オレが高校2年の時だった。
その頃、オレは仲の良い男女入りまじったグループの1人だった。
みんな同じクラスで、何故か気が合って、いつも一緒にいた。
でも誰かと誰かが恋人になるというのもなく、男女関わらず仲良かった。
そこへ1つ年下の仁田利実が、同じグループに入れてくれないかと言って来た。
連れて来たのは、オレの幼馴染の孝一だった。
元々は孝一がやっていた放送委員会の後輩で、彼女に頼まれたらしい。
その頃、まだグループはできたばかりで、オレ達は歓迎して、受け入れた。
利実は入った当初は、何の問題もなかった。
素直で明るく、オレ達は妹のように可愛がった。
テスト勉強を教えてほしいと言われれば、勉強を教えた。
どこかに行きたいと言われれば、みんなでプランを立てて出かけた。
困ったことがあると言われれば、力になってやった。
だが…少し甘やかし過ぎたらしい。
利実はどんどん調子に乗り、だんだんワガママになっていった。
それに気付き始めたのは、利実がグループに加わって一年後だった。
オレ達は高校3年生になり、いろいろと忙しくなっていった。
そのせいで、利実に構ってやる時間が減っていった。
利実はほとんどの時間をオレ達と過ごしていたせいで、友達と呼べるものはほとんどいなかった。
クラスで孤立することを嫌がった利実は、彼氏を作った。
オレ達は利実に彼氏が出来たことを少し寂しく思いながらも、喜んだ。
だがその彼氏が少しでも利実に構わなくなると、すぐに別れて、すぐに次の彼氏を作った。
それもしょうがないかと、オレ達は思った。
だけどその繰り返しを続けているうちに、利実は相手を選らばなくなっていった。
彼女がいる男子生徒や、果ては教師にまで声をかけるようになったのだ。
おかげで利実の評判は見る見るうちに落ちていき、さすがにオレ達も腰を上げなくてはならなくなった。
困った生徒達や先生達から言われたというのもある。
だけどやっぱり、利実に寂しい思いをさせたのはオレ達が原因だろうと考えたからだ。
休日、利実を呼び出し、グループ全員で話し合いをした。
やっぱり利実は寂しかったらしい。