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巫と神様の物語  作者: まめめめ
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私と神様とお客様のお願い(1)

 ここは、そんなに有名でも無いけど、そこそこ大きな神社で、

 私はここの(かんなぎ)を勤めております。


 巫と言っても、たいした仕事があるわけではありません。

 そもそも私は高校生ですから、時間的にも財政的にもそこまでの余裕はありません。

 普段は、毎日神社に通って境内を掃除して、お給料としてお賽銭をもらっていくだけのことです。

 そりゃ、年末にかけては初詣でなどの大きなイベントもありますので忙しくはなりますが、

 その分、お給料(お賽銭)も増えるので文句はありません。


 学校のテスト週間で忙しかったり、台風などで天気が悪かったり、風邪を引いたり体調が悪かったり、眠かったりする日はお掃除をサボることもありますが、問題ありません。


 体感的に、ちゃんと掃除をするのはだいたい週に一回ぐらいでしょうか。


 そんな態度じゃ罰が当たるって?

 だいじょうぶですよ~。


 だって、


 当の神様本人(本神?)がそうおっしゃっているのですから。


 そう、言い忘れていましたがなんと私、

 神様とお話ができるのです。



 さて、そんな神社に、本日は一名お客様が参りました。

 人生の勝ち負けで言うところの若干勝ち組気味な青年です。

 見たところ、お金周りで困っている様子はありません。

 服装もきれいでさっぱりしています。

 見たところ、普段からある程度さわやかオーラを放っている人なのでしょう。

 その調子で私にもさわやかお小遣いをいただけたら重畳でございます。


 それにしても、こんな時期にどうしたんでしょう。

 神様もおっしゃいます。

 ――おそらく、何かに切羽詰まって神頼みしようという算段でしょう。――

 やはり、そうなのでしょう。

 おや、手水舎を素通りして(手も洗わずに)賽銭箱の方に向かってきます。

 せっかちですね。 そんなに切羽詰まっているのでしょうか……。


 まあ、いくら私が由緒正しき巫とはいえ、わざわざお越しくださったお客様に対して神社のマナーを説法するのは無粋というものです。


 そもそも、特にイベントも無いこの時期はに手水舎に行っても水は出ていませんけどね。

 水道代の節約です……世知辛い世の中ですね。


 さて、掃除も終わり社の一室で一服していたところですが、せっかくのお客様なので、どんなご用なのか耳を傾けてみましょう。



 お客様は今月の私のお小遣い(5円)を賽銭箱に入れて、手を合わせているようです。

「……」

 おや、さすがに、誰もいない境内で願いを口に出すような痛々しいまねはしませんでしたか。

 しかし、このままではどんな思いで神社を訪れたのかわかりません。


 仕方ありませんね。ここは一つ、神通力を使いましょう。


 そう。

 なんと私、

 境内にいる間は神通力が使えるのです。



 とりあえず、相手の願望を見抜くことのできる神通力(神通力その壱)を使います。


(かみさま、どうか、かなえていただきたいねがいごとがあります……)

 どうやら、うまく接続できたみたいです。このまま聞いてみましょう。


(ぼくは、いままでれんあいにはきょうみがなかったのですが、どうやらうまれてはじめてこいにおちてしまったようです。)

 神様はおっしゃいます。

 ――恋に落ちてしまったとか自分で言ってしまう当たり、結構なロマンティストですね。――

 えぇ、神様。 少し黙ってください。


(あす、かのじょのたんじょうびに、このきもちをこくはくしようとおもっています。)

 なるほど、それでこんな時期に参拝なさったのですね。


(このこくはくがおわったら、あらためてあいさつにうかがいます。)

 ――殊勝な心がけです。――

 なるほど。 料金は後払いというわけですね。 前金にしても5円というのは少なすぎる気もしますが、しかし願いが叶った暁には大きな報酬が見込めます。

 これは、久しぶりにやりがいのある仕事が入りましたね。


(どうかかみさま、わたくしをみまもっていてください。)

 神様はおっしゃいます。

 ――おまかせあれ!――

 私も巫として、微力ながらお手伝いさせていただきましょう。

 べつに、報償が目当てというわけではありませんよ。 ええ、決して。

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