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VRMMO内最高位NPCは血を流さない  作者: 東ノ瀬 秋
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ソフィア襲来



始まりの国:

《(目)隠しボス》【ステータス偽装】

『女神の一言:暴れすぎ!ちゃんと隠れなさい!でもMVP!』

《会談の黒幕》【幻想魔法】

『女神の一言:裏でコソコソしていたのは事実なので…』


迷宮の国ローゼ:

《途中下車》LUK+5

『女神の一言:最初の脱落…運が悪かったね!』


ハルム聖王国:

《女勇者》【ファーストアタック】

『女神の一言:最後盛り上がった!グッド!』


セーレ帝国:

《無口》LUK+10

『女神の一言:もう少し目立ちましょう!』


商業国家シャーレ:

《場違いスーツ》ステータスポイント+10

『女神の一言:何気に一番真面目に会談(商談)してたよ!』


工業国家ブルーム:

《FPS》ステータスポイント+10

『女神の一言:戦闘で少し活躍!』


オーレリア王国:

《落ち武者》ステータスポイント+5

『女神の一言:威厳あったけどいつの間にかいなくなってた…』


亜人国家カリム:

《ケモナー少女》LUK+10

『女神の一言:人にもう少し興味を持ちましょう!』


ネルキア魔王国:

《魔王幹部》ステータスポイント+15

『女神の一言:魔王の忠実な部下な感じでグッド!』



「この一言もステータスの管理者の仕業?なかなかいい性格してる。」


「かもね。私のなんて一言のはずが三つ言ってる。」


「私の称号は【幻想魔法】がスキル候補に入るか。これを使って黒幕になれということかしら。」


「私は【ステータス偽装】。こっちはこれを使って隠れろと。私は助かるけど適当過ぎない?」


ん?これ別に自分にだけ有効だなんて書いてないぞ。もしかして他の人のステータスもいじれるのか?


そんなことを考えてると二人しかいないはずの城の扉がコンコンとノックされた。


「え”ッ!?」


「はーい。」


リアの軽い声に応える様に部屋の扉が開く。そこにいたのは始まりの国でシスターをやってるソフィアだった。リアの王女時代の友人でもある。


「お邪魔します。ミヒノさんは久しぶりですね。エルフィは昨日ぶりです。」


「こんにちは、ソフィア。私の事はマリアでって言ったでしょう。」


「えーっと。私だけ困惑中なんだけど…。取り敢えずどうやって入ったの?」


「それは私がソフィアに鍵を返したからですね。ほらNQでここに来る際に使っていたやつです。」


「あ~クリアしてリアに渡してたけどソフィアさんに返してたか…。」


リアはソフィアの分の紅茶をカップに注ぐ。ソフィアがここに入れた理由は分かった。リアが許可したならいいか。ここはリアの持ち物でもあることだし。


「ソフィア、昨日も来てましたがヒノに用があるんですよね?」


「はい。ミヒノさんにはエルフィを返してもらえるようお願いをしに参りました。」


「えっ!?」

「ふーん。」


真っ直ぐな眼差しを私に向けるソフィア。ずいぶんズバッと来たな。


「まぁ何となく察してるけど理由を聞かせてくれる?」


「ヒノ?人の話を聞くなんてヒノらしくありません。自分の気に入らないことは無視か踏み倒してきたのに…もしや偽物?」


ふん。確かに私は時間の無駄遣いが嫌いだ。いつもなら無視か「ヤダ」で済ませるところはリアの言う通りなので何も言えない。今回はソフィアだから話を聞いているだけだ。彼女はリアの味方だから無駄にはならないだろう。私の味方になるかは不明だが…。


「私はエルフィが最初に教会に来た時には正体が分かっていました。」


「そんな気はしてた。私と会った時にはずっとリアのこと視線で追ってたし。」


「ちょ、ちょっと待ってください!最初からバレてたんですか!?」


「リアは黙ってて!時間の無駄!」

「エルフィ、話が進みません。」


「何で私の事なのにこんな扱いを受けてるのでしょう?おかしいです。」


しょんぼりしたリアを放っておいてソフィアに話の続きを促す。


「あの日、エルフィが何故か異界者として私の前に現れました。でも女神の言いつけはエルフィへの不干渉。再会したエルフィも自分のことを話そうとしなかった。私は本当に混乱しました。」


「だろうね。」


確か軽くあいさつしただけとか言ってたし。いきなり探していた人間が目の前に現れた上に目的も現状も話さないのはね。あれ?干渉まで禁止してたのか?もしそうならソフィア側からすればどう反応すればいいか分からないだろう。

でもおかしい。なら何でソフィアは私達に金の鍵を渡したんだ?リアの無事ももう分かったのに。何よりソフィアはどうして女神の禁則事項を無視して私たちと接触できた?


私の疑問はソフィアの次の言葉ですぐに明らかになった。


「でもその夜、女神の信託があったんです。エルフィの事を知らない振りをしたまま持っている鍵を渡せと。そうすればルティアス城は再び地上に浮上し、エルフィ・ルティアスが女王としてこの国に舞い戻るだろうと。」


「なるほど、女神…ね。」


「ただ鍵を渡して数時間でボロボロのエルフィ担ぎながら血相変えたミヒノさんが帰ってくるんですもの。何事かと思いました。それも高位の治癒も解呪も効かない重症。どうやらエルフィは異界者に見えて住人の体らしい。死ぬことも渋ってましたしね。正直ミヒノさんを信用するのが不安になりました。私の鍵が原因なのは分かっていますが命を軽く扱う異界者にエルフィを任せるのは我慢できません。だからミヒノさんと縁を切るよう言うためにエルフィが一人のタイミングで接触を図りました。」


「えぇ!?あの時そんなこと考えてたんですか!」


「フフ。そうですよ。でも肝心のエルフィがミヒノさんとどうやったら仲良くなれるかなんて気の抜けること悩んでるだもの。流石に別れろなんて言えなかったわ。」


「ちょ、ちょっと!そこは言わなくてもいいの!」


揶揄うように笑うソフィアさん。リアのいじり方をわかってるな、この人。


「そっか~リアにしては可愛い悩みだなぁ~」


「ひ、ヒノまで!ヒノも血相変えてたんでしょ?わ、私も見たかったな。」


「私だって焦る事ぐらいあるよ。リアはもう少し人の機微に敏感になる事だね。王女の頃の感忘れてるんじゃない?」


「そうやってすぐ流そうとする。ズルい!」


「二人は本当に仲がいいですね。私もエルフィが望んでいるならミヒノさんに任せようとあの時は思い直しました。ちゃんとエルフィの抱えている問題は解決しましたし。でも…」


そこで目を細めて私を見つめる。


「先日の会談。貴女が何を考えてあんなことをしでかしたのかは分かりません。エルフィに聞いても言わないの一択ですし。」


「…。」


「あれが全部本心の言葉ではないのかもしれない。でも貴女がエルフィを危険に巻き込む人間なのは分かります。そして今貴方からエルフィを遠ざけられる人間は私しかいません。」


だからリアを返してか…ソフィアはリアを王女の地位に戻したいのだろう。リアをエルフィ呼びするのは彼女にそこへ帰ってきて欲しいと願っている証だ。

この国の平和を築いた立役者が国からいないものとして扱われたこの二年。彼女はどういう思いで過ごしたのだろうか。


まぁ関係ない。


「ねぇ、ソフィアさん。今のリアがどれくらい強いか知ってる?」


「…私の知ってるエルフィは結界の外に出たことのない箱入り娘です。正直彼女が戦闘している姿を想像だにできません。」


だろうね。ローゼ様曰く住民にはリアが消えた理由は始まりの国に現れた強大な魔物を自分と城ごと封印したためと伝えられている。本来のNQではそこら辺の歴史を図書館なりで調べる必要があるのだとか。そして地下に埋まったルティアス城には暴食のマーナガルムがおり、城とチュートリアル空間を繋ぐ扉もあったのだが大狼がその扉を喰ったことになっている。大狼を倒すとその扉が復活してそのままリアが女王の座に就くという流れだったらしい。

つまり自分を犠牲にした王女を救い城を取り戻すことが始まりの国にとっての救国だったということだ。


何が言いたいかと言えば住民であるソフィアはリアがスキルの管理者だった事実を知らない。現実世界の知識を持っていることも知らない。今のリアはソフィアが知ってる頃の彼女とは別人だ。


「じゃあちょうどいい。リア、今から私と決闘してくれない?」


「ハァ!?」


今日のリアは私とソフィアに振り回されてばかりだな。


「いや、ミヒノさん。それはどういう意図でそんなこと言ってるんですか?」


「だってソフィアさんは今のリアを全く見えていませんので。私が見せて差し上げようかと。今の彼女は貴女が守らないと生きていけないような弱い人間じゃありませんよ?」


「……。」


「褒めてくれるのは嬉しいですけどヒノがそれだけで私と決闘するなんて言い出さないでしょう?何が目的?」


「さっき言ったじゃん。対人戦したいって。あとは装備の確認もね。折角リアが作ってくれたんだから。使いこなしてこそ感謝を伝えられるってものでしょ?」


「え?ミヒノさんの服はエルフィが作ったんですか?」


ソフィアが目を丸くして私の服を見る。製作者が頑なに開放的な軍服と言って聞かない海賊服。そういえば最近知ったのだがNPCにはスカートの下が見えてるらしい。リアさん?貴女もしかして見えてるのでは?


「私のもそうだけどリア自身のもね。身の丈に合ってないレベルで高性能だし見た目も凝ってるでしょう?」


「ええ。異界者が着るような派手な格好だけれど凄い完成度なのは分かります。」


「でしょう~私の自信作なんだから。」


機嫌良いなぁ。ふーん。ソフィアに以前と違う自分を見せられるのは嬉しいと。それだけ彼女に気を許してるということか。


「はいはい。それで治療ができるソフィアさんもいる事だし【暴食】だけ禁止にすれば大丈夫でしょう?」


「それはヒノが一方的に不利な条件じゃないですか?」


「いやリアの身を案じての事だから。それに武器の耐久減らすのも馬鹿らしいでしょ?」


「う~ん…しょうがないですね。分かりました。でも正直に言うと私も一度くらいヒノと真剣勝負してみたかったです。」


「そのセリフは二度目があるフラグだからやめて欲しいなぁ。まいいや。私も本気で行くから。」


リアを一番近い所で見てきた私だからこそその強さは理解しているつもりだ。私こそリアと勝負したかった。さて私の戦い方がどれほど通用するか…楽しみだ。


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