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VRMMO内最高位NPCは血を流さない  作者: 東ノ瀬 秋
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死の山脈と登山計画



漸くお目当ての死の山脈とやらが見えてきた。見た感じごつごつとした黒い岩肌がむき出しだ。上に行くほど霧で霞んでいてここからじゃよく見えない。斜面が急なのか現実じゃ絶対登れないってくらいの崖が所々存在している。世界のなだらかな山々というより日本の険しい山脈の方が近いかもしれない。ただ視界の端から端まで一直線で伸びる山の連なりは日本では見れられない絶景だ。


ここまで来るのに一日半かかった。いや実際には二日と半日か。三つ目に見つけたログアウト可能エリアで一旦私はログアウトして学校に行った。こういう旅はリアを待たせるのがちょっとね。


「それにしても元お姫様にお姫様抱っこしてもらうのはなんか優越感凄いね!」


「ヒノはまたくだらないこと考えてますね。だいたい私はお姫様抱っこなんてしてもらったことないですよ。」


私はリアの首に回した手に力を入れる。その際リアの首輪に触らないように注意している。なんかこう触っちゃいけない感がすごいんだこれ。少し無理な体勢だが仮想世界での身体的問題は大抵気合で何とかなる。お姫様抱っこなんて現実でやるとする側が疲れるのは勿論される側も結構つらいんだよなあ。自分の上半身を腕だけで支えてるから。こっちの私はSTR高いし疲れないからいいけど。

さて別にお遊びでこんなことしている訳ではない。今の私たちが最初の五割増しの速度で飛行しているのがその証拠だ。マーナガルム戦でリアにも血の滑走をした際AGIの関係で私よりも数段早く移動できた。だったら私に合わせて速度を落とすよりリアが私を運んだ方がいい。レールも一人分。自分の足で滑走する必要もない。つまりこれが最適解!ただここ半日は鳥型の敵Mobも現れ始めたし、森は蜘蛛型の魔物が下から私たちに襲い掛かるようになった。回避に飛行コースを考えないといけなくなったので私の負担は全く軽くなってない。【魔力探知】と【隠形】の魔石を使いながらの飛行で休憩する頻度は高くなったぐらいだ。


「急に森の木が枯れてるのは不気味すぎ。」


「あそこは沼になってるようですね。石碑っぽいものがあるのでセーフティエリアかもしれません。」


ここまで三つのログアウト可能エリアには全部この石碑が置いてあった。なので今回もそうだろう。


「ちょうど見える範囲で一番高い山の真ん前じゃん。あの山登ろう。その前にちょっと休憩してどういうルートで山に登るか決めるか。」


まだワイバーンの姿は見えない。枯れ木エリアにも生き物は存在しないようだ。今回の目的はマナテイク鉱石の採掘。ちゃちゃっと回収してリュースさんに届けよう!





私は休憩がてら魔剣を振っていた。上段、下段、ケサ、逆ケサ、水平、燕返しと色んな斬り方を一息で繋げるように試していく。魔剣は両刃なので刀ほど繊細な使い方は必要ないが練習はしておいた方がいい。振ってみると案外体は覚えてるもんだ。いや今は実際の体動かせないんだった。これは何が覚えてるって言うんだ?頭?でもそれ普通というか当り前じゃね?まいいや。今は投げるだけだがこれから振り回すこともあるかもしれない。その時手で振った感覚で血でも同じように剣を扱えれば強いだろうしね。


「ヒノは現実で剣を使ったことはないんですか?」


「剣はないね。日本刀ならあるけど。ゴザ丸めてそれを切ってた。それだけでも剣道とは全く違う技術がいるんだよね。刀を振り抜く感覚が全くの別物。剣道は面でも胴でも籠手でも当たる前には竹刀しないを引き戻してる。この世界は振り抜かないとダメージが加算されないから剣道が生かされるのはPvPの駆け引きの時だね。初動である程度どんな切り方してくるか分かるのは思ったよりアドバンテージになるよ。」


「最近の女子高校生は日本刀も振るんですね。流石侍ジャパン!」


「いや侍ジャパンの使い方間違ってるから。」


「んー私の剣はメタバースで見た色んな流派の模倣ですからあまり教えられないんですよね。すみません。」


「大丈夫。私はリアの真似しようなんて欠片も思ったことないから。っていうか剣の軌道見えないし…」


流派とかあったんだ。今度調べてみよう。


「さてリュースさんから聞いたことのおさらいと行こうか。まずマナテイク鉱石は岩肌にある採掘スポットでは採れない。山の中腹に入り口のある洞窟。その最奥にからドロップする。道中は体長2、3mあるロックリザードに加え、岩に擬態しているウォーロックというゴーレムもどき。レベルは70前後でここ二日で43まで上がった私たちでも到底かなわない。まぁ【暴食】で削ってもいいが1時間は掛かるだろう。そんな熱戦してたらワイバーンに見つかって漁夫漁夫の漁夫だ。という事で接敵は完全回避。目的地までのスニークミッション。道のりは絶壁を縫うような狭い坂道で、普通ならそんなミッションはインポッシブルだが…我々には【天血万有】様と【禁科玉条】様の加護がある。約束されたポッシブルだ。」


「今日のヒノはいつもよりテンションが高いですね。」


「いや死の山脈になかなかじらされたからね。でもこの絶景はマッターホルンやキリマンジャロにも劣らない。それにスニーキングなんてゲームの醍醐味、現実じゃできないからね。割と楽しみにしてた。」


「さいですか…」


「はいそこくだらないとか思わない!【魔力探知】【隠形】は必須としてリアには【魔力探知】を禁止して欲しい。」


「え?それじゃあヒノは索敵できませんよ?」


「それなんだけど私が【共感】の魔石でリアと感覚を繋げれば広範囲で探知系スキル無効できるかと思って。」


「いやそれは無理ですね。PKの時はヒノが索敵した感覚をそのまま共有してました。今回はヒノの血の位置は把握できてもヒノが【魔力探知】してないので認識範囲は変わりません。ヒノは血から何かを認識している訳ではないですから。」


「マジかー。じゃあ【共感】は諦めるよ。」


本当は広範囲で私たちを見つけるスキル封殺すれば楽だなぁと思ったんだが。【魔力探知】は【魔力感知】の上位派生だ。リアは【禁科玉条】でランダム登録されたらしい。【銀の書】でスキルを禁止する際、上位のスキルを選ぶと下位のスキルも使えなくなる。つまり【魔力探知】を禁止指定すると【魔力感知】も使えなくなる。リュースさんがワイバーンは【魔力感知】を持っていると言っていたからちょうどいいと思ってた。


「それでもリアは【空間把握】で半径100m位は認識範囲にできるんでしょ?なら【銀の書】の禁止指定は【魔力探知】がいいんじゃない?」


「わかりました。それでいきましょう。それに100m以上離れていればそう簡単に【隠形】を看破するのは無理でしょうから心配いりません。」


「いいね。よしあとは私のユニークスキルの出番ね!」


「え?BP貯まったんですか?」


「んー貯まった貯まらないという問題じゃなく使いどころがね。完全に消費型の必殺技だからタイミングちゃんと考えないとあっという間に血が無くなる。」


「折角道中ずっと血を集めてたのに普段使いは無理ですか…ピーキーな能力ですね。」


「使えないんじゃない使わないの!普段の戦いは【血流操作】と同じことができればいいってだけ!常時発動万能型の【禁科玉条】さんには【天血万有】さんの心意気ってものが分からないかなぁ。」


「まあまあ落ち着いて。それでその普段使いとやらで何するんです?」


「簡単だよ。道がないなら作ればいい。ここまで来た方法と同じだよ。森に道があったかい?」


「飛ぶ気ですね。フィールドの管理者が泣いてそうです。」


「いや飛んだらワイバーンに気付かれちゃうでしょ?ちょーっと崖に沿って階段作るだけです。」


「はいはい。私()ヒノのそういう自分のできる全てを尽くす姿勢好きですよ。」


「むっそこを強調するのはどういう了見かなあ。」


「さてさて確認も終わったことだし出発しましょう!」


リアは慌てるように私の背中を押してこの場を後にした。





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