朝鮮の幻影園 ⑪
北朝鮮側二名、中国側三名を残し、
自走治療繭を護って、
日本の護衛官とロシア武官は去っていった。
騒然としていた室内が静かになり、
暴力的なまでの沈黙がおりる。
冷静になり、
状況が実感として襲ってくるのが怖い…
そんな空気だった。
沈黙に耐えかねたかのように、
朴は上佐に連絡し、
「上層部経由で狙撃者の追跡が秘密裏に発令された」
…と言った。
しばらくして慌てて入室してきた上佐に事の顛末を報告し、
「しばし残る」と告げて別れた朴は、
主の居ない部屋で、中国の少女を慰めるように話している。
朴「采玉、
ちょっと外してくれるか?」
一「りゅ〜さんと、そんさんも」
三人「はい」
退出を待って、朴は口を開いた。
朴「私のせいかも知れない。
何らかの方法で
敵が私の動きを察知していたとか…」
一「たぶん、ちがう…とおもう。
きたからも、たまはとんできた。
あなたをねらうだけなら、
もっとやりようがあるはず」
朴「貴女は私の事を気づいていたのだろう?
王牌」
一「わたしはいちどみたことあれば、
わすれないから。
あなたはむかしいちど、わがやにきた」
朴「非公式にお宅にお邪魔した時か。
あの時、まだ貴女は生まれてなかったのでは?」
一「わがやに、きねんしゃしんがのこってた」
朴「記念写真?
非公式の家族写真?」
一诺は肯いた。
朴「では、敵はまだ気づいてない…と?
表向き顔を出してる男が、
影武者だという事も…?」
一「なんにせよ、これまでいじょうに
しんちょうにうごいたほうがいい。
てきはこれをりようするだろうけど、
いいがかりやちょうはつにのってはいけない」
朴「正直、韓米日連合と正面切って戦えば、
タダでは済まない。
もちろん、何とか避けたい。
さもなければ、
傀儡化している同胞・南朝鮮も含めて、
双方が戦で疲弊したら、
もろとも米帝に食い物にされる」
一「きっと、それはくいとめてくれる。
とししゃまがやくそくしてくれた。
たっきーは、それをむにしない」
一诺は瞳に涙を湛えたままだった。
そして、
舌足らずな、可愛い声に似つかわしくない、
決意のこもった言葉を口にした。
一「わたしも…
とししゃまのきもちをむにしない。
あなたも、そうなさい。
あなたももう、
とししゃまの… のみともだちでしょ?」
朴「小诺…」




