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国家運営はもうAI丸投げで良んじゃね?  作者: 八和良寿[Yao Yoroz]
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朝鮮の幻影園 ⑧




四人いっしょに木槌で打って鏡開きをし、

一斗(いっと)樽を開けた。


柄杓(ひしゃく)がつけられたが、

まどろっこしいとばかりに、

彼は(じか)(ドンブリ)で酒を汲んだ。


自分も(なら)う。

八杯目だ。

まだ負けられない。




「絶望への一本道」



絶句した。

何も返せなかった。


したたか酔うほどに鋭くなる彼の舌鋒(ぜっぽう)に、

()かれ、(おそ)れすら感じている自分に驚いた。


まだまだ負けられない。




俊「でもね、

 ボクは世界中の人々を幸せにしたい。


 信じてもらえないかも知れませんが…

 その中には、あなた方も入ってるんです」




な、何言ってるんだ?

この男は。


今日会ったばかりの、

見ず知らずの人間と言っていい我々を?


敵とすら言っていい我々を?


幸せにしたい?




俊「一歩踏み出す想像をするためには、

 キッカケが必要。


 ここ(デクスターズ)は、

 平和を想像するキッカケなんです。



 ボクらの独裁者は

〝平和しか選択できない対話を模索したい〟

 と言いました。


〝ケンカ腰でない抑止力〟だとも。


 その具体策がここなんだったら、

 ボクは全力で支持・支援するだけです」




息を飲んだ。



言葉を返せない自己嫌悪に耐えかね、

(ドンブリ)(あお)った。


そして必死で、

まくしたてるように言った。

言わずにはおれなかった。




朴「そ、そのために命がけで来たと?


 休戦してるとはいえ…

 いや、休戦してるからこそ、

 いつ、何が起こるかわからない

 戦地のど真ん中に?」



俊「お節介ですかね?」



朴「お節介なんて生易しいもんじゃないな。


 我々に手を差し伸べたりすれば、

 それだけで日本国自身が米国に睨まれる。


 普通、そんな危険を犯してまで誰もやるまい。

 国家元首ですら、そんな事はしない」




彼はポリポリと頭を掻いた。




俊「元首でなくなったから…ですかね。

 たぶん米国も、個人相手に

 責任を問うたりはしないでしょう」



朴「しかし凪さん、あんた…

 逆に、民間人なんだったら、

 半島情勢には何の責任もないはずだろう?」




彼は今度は頬を掻き、

少し照れくさそうに、

しかし、凜とした調子で言った。




俊「それが…

〝唯一、核の痛みを知る国の責任〟

 だから…ですかね。



 核戦争の引鉄(ひきがね)など誰にも引かせない。


 できれば、戦争の引鉄(ひきがね)も。


 一民間人が差し出がましい…

 と思われるかも知れませんが」




衝撃だった。



国際社会は悪意ばかりだ。

無理難題を押し付け、我々を潰しに来る。

少しでも油断しようものなら食い物にされる。


日本はその悪意の筆頭だ… そう思っていた。


歴史上、何度も痛ぶられ、苦しめられ、

それ故に、敵として蛇蝎(だかつ)のように嫌い、

憎んでいた。



その国から、

こんな人物が出てくる事などあり得るのか?

信用していいのか?

なんかの罠じゃないのか?




俊「ボクは、ケンカとか大キライです。

 ましてや殺し合いなんて真っ平(まっぴら)


 自分だけでなく、

 できれば誰にも、

 殺し合いなんかして欲しくない」




正直なのか?

それともバカなのか?





俊「ボクの国で昔死んだ人たち、

 世界中で今、戦火で死んでいる人たち、

 そして、これから死に(ひん)しようとしてる人たち。


 誰一人、死にたい人なんかいないはず。

 誰も死なせたくない」




正気なのか?




俊「だから

〝平和しか選択できない対話を模索したい〟

 という、ボクらの独裁者を信じてここまで来た。


 それだけなんですよ」




そう言って、彼はニッコリ笑った。




それを口にするだけで

殺されるかも知れない国なんだぞ、

ここは。


国際社会でも、

消されるかも知れない蛮行じゃないのか?

それは?




李「そ、そんな、無茶な!」



隊「無茶よね…♡」



リ「無茶ですねっ!」



ロボ①「無茶すぎ!お兄ちゃん!」



ロボ②「無茶だっての!バカ!」



ロボ③「聞きしに勝る無茶ですね!」



副「酷い言われようね。

 実際、無茶だから仕方ないか?[TV通話]」




女性たちの集中砲火を…

しかし、笑顔で受け止めて、彼は言い放った。




俊「〝AIに国を任せるなんて無茶だ〟

 って、最初からず〜っと言われてたけど、

 ボクはそんな独裁者(タッキー)を信じて

 ここまで来ました。


 今も信じてる。


 …って事は、

〝無茶〟がボクの生きざまなんですよね、

 きっと」




彼は、

いま一度、ニッコリ笑った。



もはや、

誰も反論する者はいなかった。




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