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国家運営はもうAI丸投げで良んじゃね?  作者: 八和良寿[Yao Yoroz]
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【こらむ】VGのウザすぎる実刑執行




意外に知られていないようだが、

苛烈・悪辣と言われる犯罪対策とは対照的なほど、

刑罰の内容は非暴力的である。


死刑制度は独裁が始まってすぐ廃止されたし、

刑の軽重はナギ・ナミの保護監察義務と民配(ペイプル)停止、

その期間の長短のみと言っていい。



民配(ペイプル)停止期間中は無収入だから働く必要には迫られるが、

食事、医療、教育は保証されるから生きては行けるし、

VG(ビジー)による職業訓練と仕事斡旋は受けられる。


見ようによっては強制労働に誘導してるようにも見えるが、

多少偏見で見られるとはいえ、

雇用環境は一般人と何ら変わりない。


むしろ

「働くアテもなくプラプラしてるのが犯罪を犯す原因」

と言っても過言ではないので、

これだけでも再犯率が減る要因になっているだろう。



しかしそれ以上に、

ナギ・ナミの保護監察が実に過酷だ。


電源の切れないスマホを持たされ、

電池切れさせれば、どこにいようと警察がやってくるから、

充電せざるを得ない。


そして二十四時間、三百六十五日、監視され、

子ども扱いで「イチからしつけ直される」のだ。


いわば「口うるさい母親が常にそばにいて、

悪い点を無制限で注意される」ようなものだ。


一般市民として至らなければ日常的に正されるから、

犯罪などの反社会的な行動を起こすどころか、

模範的態度を身につけるのに手一杯になる。


反抗的な態度を取れば通報されるし、

より自由を奪われ、面倒な事になるだけだ。


しかもこの刑、無限の体力と根気強さで行われるから、

「ウザさ致死レベル、死んだ方がマシ」と、

ほとんどの前科者が口を揃えて言う。


もちろん死ぬ事など許されないし、

ほとんどの者は「更生した方が楽だ」と思うようだ。


また、前科者に対する周囲の偏見や差別は、

逆にナギ・ナミが反論・擁護する事もあり、

更生へのモチベーションになっている。


そして、観念して更生し、

普通の生活が出来るようになれば、

ナギ・ナミはただのスマホ常駐型AIに戻り、

良きパートナーになるのだ。


生活態度によっては減刑もあり得るし、

より健全な人生に近づいていく。



ところで、この「口うるささ」は

犯罪者以外にも行使される。


逆に見れば、

予防的に動いて犯罪を未然に防いでもいるわけで、

ナギ・ナミは人が犯罪に手を染めずに済むよう、

連続的に関わっているとも言える。



独裁下では通常の刑務所や少年院がなくなった代わりに、

普段から見られ、諭され、導かれている。


いじめや虐待、DVを含む暴力行為、

契約違反や金品詐取などの詐欺行為、

すべてが「他者の人権侵害」という犯罪であり、

それらは未然に、かつ自動的に阻止するという発想。


そのためにはプライバシー侵害を辞さない施策。


これを管理社会・恐怖政治だと見る向きもあるが、

犯罪発生率と再犯率が共に現在、

史上最低水準なのは統計上明らかである。



誰かの人権を守るために、

他者の人権が侵害される事など、

あってはならない。


これは「自由の範囲」の解釈の問題だ。


犯罪者、被害者それぞれの人権を議論するよりも、

犯罪をなくしてしまう方が効果的だと思うのは

穿ち過ぎだろうか?



併せて、VG(ビジー)の信用という問題も。


他者の人権を侵害するという意味では、

犯罪者とVG(ビジー)は同列だ。


しかし、その目的と結果は正反対なのだ。


「犯罪の阻止自体を悪い」と言える人は少ないと思うが、

VG(ビジー)が将来、悪用しないとは思えない」

と考えるのは無理もない。


「悪用しないと信用する」ために、我々に何が必要なのか。


これは人として、徹底的に議論すべき問題だと思うのだが、

アナタはどう思うだろうか?



智晶(ちあき)知明(ともあき)(※)・著

「電脳化による犯罪根治」より抜粋]



政経(せいけい)大学 法学部教授。

犯罪予防学、被害者政策などが専門。


「電脳警察の恐怖」の著者、大垣道夫氏の対極にいる論客で、

VG(ビジー)の施策を好意的に解釈している。




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