俊さまの女難 ① 〜酒池肉林?四面楚歌?〜
パンっ!
民泊も二日目。
近場の温泉連れてく話聞いて、
リリューシャは柏手みたく両手打った。
「あら〜っ!
ホントにご一緒してくださるの?
なぎさまと、オ〜ンセ〜ン?
幸せすぎて死ねるかも〜っ!」
テンション高っ!
…てか、こんなキャラだったん?
「アンタ、そういうキャラ?
軍・警察のホープってゆ〜から、
クールで無慈悲な殺し屋キャラかと思ってたのに」
リリューシャ、ジッと見返してる。
あ、言い過ぎ…た?
あっという間に間合い詰めたリリューシャが、
あたしの頰にキスする。
「!!!」
あたし、ビクッとして飛びすさった。
「殺していいの?
邪魔者殺していいんなら、
なぎさま、モノにするのも簡単よね…」
スッと離れて立ち上がった彼女は、
その碧眼にクールで無慈悲な色彩を浮かべて、
あたしを見下げるように冷笑してみせた。
背筋、ゾッとした。
震え止まんない。
「フッ」
一転してニマ〜っと笑ったリリューシャは、
自嘲するように言った。
「そんな事したら、なぎさまに一生嫌われちゃう。
そんなの絶対イヤ。
それくらいならバカ女、エロ女って
思われてた方がズッといい…」
そう言うと、今度はうっとりした微笑になった。
美しい金髪を三つ編みにしてアップにした彼女は、
女のあたしでも惚れ惚れするほどの美貌だ。
その美女が、少し頬を赤らめて言った。
「お姉さまじゃないけれど、
なぎさまの“無敵”に降ったの、わたし。
降参したの。
わたしを少しでも好きになってくれるなら、
なんでもあげる。
この身も、彼が望むなら命だって」
「そ、そこまで?」
「その辺にしときなさい、リリューシャ。
遊梨子をあんまりいじめないで」
「はぁ〜い」
隊長の助け船で一息。
ありがと、助かった〜。
「リリューシャ?」
「はい。何です?
お姉さま」
「もう俊さまは、
リリューシャが死んでも悲しむと思うぞ」
「えっ!?」
「俊さまの笑顔が見たいなら、楽しく生きないとね。
死ぬとか考えたらダメだよ」
そう言って隊長はリリューシャに笑いかけた。
「うそ…ホントに?
そんな、なぎさまァ…」
!!!
泣くほど感激すんの?!
リリューシャ!!
ソコ、そんな喜ぶトコ〜〜?!
このまんまじゃ、負けた感強すぎ!
あたしは意を決してリリューシャの首っ玉に抱きつき、
ヘッドロックする形に抱きかかえた。
「よ、よかったわねっ!
し、シャクだけどっ、
トッシュ愛好会メンバーと認めるわ」
「愛好会?
そんなんあったの?」
「今、決めた。
あたしがファン第一号」
「わ、わたしもいいか?」
「もち!
隊長は二号ね」
「私を忘れてはいないわよね?」
「そりゃあね。
副長は三号」
「ふふっ!
じゃあ私は四号?」
「仕方ないなぁ。
じゃあ四号で」
「あっはっは!ウケる〜。
わたしたち、お妾さんかっての!
あなたサイコー!」
リリューシャ、笑いスギ!
「あはっ。
仲間入れてくれたお礼に、
何かあったらあなたも護ってあげる。
でも、誰がなぎさま射止めても恨みっこなしだからね?」
くぅっ!ビビるなぁ…
ライバルが…こんな美人揃いだなんて。
「の、望むところよっ!」
「でも、温泉行きは明日だよ〜?
遊梨子、金曜は学校では?」
副長、考えたくないトコ切り込むなァ。
「うう〜!」
「安心して?遊梨子のぶんまで、
なぎさまに愛して貰っとくから…♡」
「あ、愛して?そこまで?」
隊長、ナニ照れてんの?
「楽しそうだねぇ、ナニ話してんの?」
「俊さま?
な、なんでもありま…」
「なぎさまと温泉、
楽しみだなぁって話してた…」
「そりゃ、良かった。
提案した甲斐があったね」
「ロシアじゃ経験できないからスっごく嬉しい。
お背中流しますねっ!お礼に」
「え?あ、あぁ…」
想像したのか、トッシュ赤くなった。
もうっ!ムカついたっ!
ドガッ!
延髄斬りカマして、
倒れたトッシュの背中を両足で踏んづけてやった。
「鼻の下伸ばして、イヤラしいっ!
トッシュの変態っ!スケベっ!」
「うぐぐ〜」
そのまま立ち去ろうとするあたしの後ろで、
リリューシャが駆け寄った。
「だ、大丈夫っ?
なぎさまっ!」
「うぐぐ〜」
呻いてるトッシュの頭を抱き上げて、
ひ、膝枕しちゃった!
リリューシャっ!な、なんてこと…。
去り際にリリューシャと目が合った。
彼女、ウインクして舌を出し、
トッシュに見えない角度で勝ち誇ったように
ピースサイン出した!
こっ、この〜〜っ!!
大した玉だわっ、この女〜〜!!!
もうっ!
心配しかないってっ!!




