鹿野屋家の受難 ①
「こんばんは〜♪」
「あら〜、ひかるちゃん!いらっしゃい!
今日はどうしたの?」
「ちょっと…、相談…がネ?
俊クン、います?」
「ちょっと待ってね。
俊明〜?」
「ん〜?」
「ひかるちゃん、来てるよ」
「あぁ、来た?
いらはい」
トッシュはダイニングから出てって、
お客さんを二階の自室に通す。
トッシュのお母さん、美都里さんが
お茶出しに部屋上がる。
ダイニングで一緒に緑茶を飲んでた隊長は、
戻って来た美都里さんに訊いた。
「あの女性は?」
「彼女は、三ノ宮ひかるちゃん。
幼稚園からずっと同級生でね」
「あ〜んど、あたしの担任」
「なるほど」
「俊は気があるみたいじゃよな〜」
ガタタン。
派手にズッコケすぎ、隊長。
動揺がダダ漏れよ?
「お、お祖母さま!?
ホ、ホントですか?!」
「ま、相手にされてるかはわからんがにゃ。
ひょっほっほ!」
ホッと胸なで下ろす隊長。
わかりやすっ!
北領での武勇伝はナミから聞いた。
もう、バッチリ距離縮めちゃってさ!
敵との、ノロケまがいのやり取りとか…
もうねぇ… なんだかなぁ〜って感じ!
こっちは連日のミサイル警報のせいで、
日課の朝番(◯ャキーン!とか、ピ◯ゴラとか?)
見逃して、毎日ムカついてたってのに。
オ、オマケに、
とんでもない金髪美女や黒髪の美少女まで。
ムキ〜!!ライバル増えんの早すぎ!
でも、隊長…
ちょっと…
カッコいい…
とか、思ったのは秘密だ。
「そ、そんな娘、部屋に上げて大丈夫です?
間違いでも起こったら…」
「万々歳よね、こっちは」
「うんみゅ。
ま、高校んときの未遂から進んでねぇのは、
残念じゃな」
み、未遂はあったん?
ひ、ひかりん、よくつき合えるな〜、そんな男と。
や、やっぱ脈あんのかナ?
隊長も頭抱えてる。
トッシュの事となるとわかりやすいな〜、
この人。
可愛い〜!
ケド、ライバルだもんね。
油断も、情け容赦も禁物。
「もう、押し倒しちゃえば?
隊長」
ガタタン。
副長のセリフに、
今度はあたしまでズッコケた。
「な、なっ!ナニ言ってんの?」
と隊長。
「傍から丸わかりだってのに、
今さら何ビビってんすか?
“猪突猛進の南海果”の二つ名が泣くっすよ?」
「そ、そんな…
お、押し倒すとか… ご家族の前で」
「大歓迎よね、こっちは」
「うんみゅ。
はよ、ひ孫見たいにょ〜♪」
あ、煽らないで、みんなっ!
こんな超美人、その気にさせたら
いよいよ勝ち目ないじゃんっ!
それにしても、何なのかな?
ひかりんの相談。
気になるな〜。
「さて、新しい茶でも出しに行っか。
ついでに様子見たろ〜」
楽しそうに美春ちゃんが部屋上がってく。
まさかあんな、
大騒動になろうとは、
夢にも思わなかった。
この時は、誰もまだ。




