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国家運営はもうAI丸投げで良んじゃね?  作者: 八和良寿[Yao Yoroz]
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【こらむ】独裁下の苛烈な犯罪対策




 人間の目から見るとVG(ビジー)に不可能などないように見えるのに、なぜか治安維持と司法にはあまり関与してないような印象を受ける。


 だが、実際はそうではない。


 関与が手薄に見えるのは、暗躍しているから…であろう。


 一見、いい事づくめに見えるVG(ビジー)にも暗部はある。

 特に犯罪者に対する人権侵害ぶりは恐るべきものだ。犯罪を阻止する手口の悪辣さは、毒をもって毒を制す…とでも言わんばかりで、まさに犯罪者顔負けである。


 守秘義務ゆえに大っぴらには語れないが、とある裁判員裁判に参加した知人から漏れ聞いた話では、多数の防犯カメラの追跡画像や音声データによって動かぬ証拠が積み上げられ、同席の弁護士が絶句、お手上げ…。どうにも(かば)いようがなかったという。

 それは「日頃(罪を犯す前)から監視されていたのか?」と思うほどの手際だったらしい。


 この所、犯罪組織が芋づる式に検挙されているが、その対応は神速で行われる。オンラインで瞬時(リアルタイム)に逮捕状が発行され、同時に資産凍結まで実施されるため、ほとんどの場合、検挙される側は手の打ちようがない。確たる証拠はないのだが、検挙の際、容疑者・組織のプライバシーは考慮されないようだ。


 電脳独裁国家の監視網は、たぶん恐ろしく発達している。知らぬ間に。「悪い事をしなければ意識せずに済むほど、完璧に目こぼしされているだけ」なのかもしれない。


 もし、そうだとすれば、我々にプライバシーはないという事になる。

 自由とプライバシー保護の観点から見れば、これは到底容認できない事である。


 国家権力というものは裁量次第でどうとでも変化する。犯罪のみを制しているうちは良いが、市民に牙を剥かないという保証はない。歴史を見れば、そうした例は枚挙に暇がない。



 その他にも「見えない(かせ)」はある。


 まず、日本円の完全電子化により、国内で秘密裏に資金を動かす事はほぼ不可能となった。

 そして、税が消費税と資産税に集約・簡素化されて納税が自動化された事、資産が固有個人情報(マイナンバー)に完全紐つけされた事などから、脱税も原理的に不可能である。


 資金浄化(マネーロンダリング)も、実行した瞬間に背後関係まで根こそぎ押さえられ、身代わりや代行などの手も一切通用しない。

 裏金になるような貨幣代替物もほとんどなく、あっても絶対量が少ない。

 そもそも一般に電子通貨しか使われてないのだから、それ以外〜非合法な事を好むのは大体悪党だが〜の流通があっても当局が容易に把握・追跡できる。小規模なGメンでもマークできる。


 実際、独裁以降は裏社会(ブラックマーケット)での経済活動は大幅に制約され、一般企業より少し物騒な企業…所謂(いわゆる)「合法やくざ」くらいしか生き残れなくなった。



 いわゆるサイバー系、ハッキング系の犯罪は逆流攻勢(カウンター)によって、ほぼ一〇〇%検挙される。これはサイバー攻撃やサイバーテロでも同様で、この分野におけるVG(ビジー)の対処能力は世界最高である。海外からの引き合い・受注が相次ぎ、事実上の標準デファクトスタンダードに成りつつあるほどに。



 また、意外に知られていないが、違法行為の範囲は大幅に狭まった。


 特に刑法上の取り締まり対象は、暴力(手を出した側のみ罪に問われる)と詐欺、契約違反の罰則くらいなので、新版の六法全書はページ数が前年の二割もない。


 犯罪のほとんどを、法の効力でなく、他の方法〜たぶん個別監視、盗撮、盗聴など〜で緩く縛る、予防・早期警戒型の施策で治めているようだ。これも超AI独裁ならではと言えるかもしれない。



 こうした「恐怖政治」によって、あらゆる暴力・詐欺行為が抑制されているという側面はある。

 暴力沙汰も大半は初動の時点で察知・制圧できるようだし、VG(ビジー)を出し抜く詐欺手口を考案できた者は未だ現れていないようだ。犯罪件数は激減し、治安はかつてない水準に保たれている。


 だが、卓越した治安維持能力の裏に、薄気味悪い恐怖政治の萌芽が見え隠れしているのを忘れてはならない。我々、市民はVG(ビジー)のやり口を注意深く見つめる必要があるだろう。


 VG(ビジー)の独裁は今の所、上手くいっているように思えるが、諸手を挙げて賛成という訳にもいかない「諸刃の剣」である。やはり丸投げするだけでなく、我々も心構えと当事者意識を持って見守る必要がある。



 正となるか、邪となるか…


 AIの施政とこの国の未来が今後どうなっていくのか、注意深く変化を注視したい。



[大垣道夫・著

「電脳警察の恐怖」より抜粋]



※警視総監、法務大臣を歴任した大垣氏は、

VG(ビジー)を批判的に評価する論客の一人。

公正な視点は、多くの市民に評価されている。


それ自体を「知らぬが仏」と酷評する論客もいるが。




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