рукопожатие 〜握手〜 ⑧
市長室。
今は会議室の控室と言ってもいい。
会談は首脳だけ残って、しばし続いたので、
退室した者同士、雑談することに。
「“戦虎”と恐れられたリーリャが、
まるで子猫だったな」
退出後、市長が話しながら近づいてきた。
先ほどまでの殺気は、すっかり影を潜めている。
俊さまから離れ、平静さを取り戻したリリューシャは、
顔を真っ赤にして恥じていた。
返す言葉もない…という様子だ。
「ナミカ・ナゴ。
お噂はかねがね。
凄まじい闘気だった」
「そちらこそ。
殺気で睨み殺されるかと思いました」
「君ひとりでリーリャに…、
いや、我々5人に勝てると思ったかね?」
「私ひとりでは敵わないでしょうね。
でも…」
「でも?」
「俊さまが一緒なら別です。
あの方には指一本触れさせません。
相手が誰だろうと…」
「彼のためなら死ねると?」
「いいえ」
クスリ…と笑ってしまった。
敵前で隙を見せるなど、
昔の私ならあり得なかった。
でも、今は違う。
たぶん、だからこそ強いと思える。
そう、あの方のためならば。
「私が死んだら、あの方はきっと哀しんでしまう。
だから、私も生きて、護り切ります。
あの方の笑顔のためなら…」
「……」
そこへ、会議を済ませた一诺が出てきて、
言った。
「“べたぼれ”ですにゃ?
たいちょ〜」
幼女に図星を突かれて取り乱す自分に気づいて、
情けないやら、恥ずかしいやら。
でも、一方では誇らしくて、嬉しくて、
赤面しながらも、思わず請け合った。
「はい!
死ぬまでおそばにいて、
あの方の笑顔を見ていたい!」
ニマ〜っと笑ったかと思うと、
市長に向き直り、
一诺は言った。
「とししゃまのてきになるんなら、
一诺もあいてになるよ?」
構えが堂に入っている。
才能は十分、功夫も積んでいるようだ。
今やれば相手が悪過ぎだろうが、
5年も経てば勝敗はわからんかも。
まぁ、いくら猛者でも、
中華の姫に手出しはできないようだったが。
「とんでもない!
無敵の同志、“俊さま”には逆らえませんって。
友達になりますとも!」
市長は恭しく一礼した。
冗談まがいで、わざとらしかったが、
本心ではあるようだ。
「我々もです!
同志、“俊さま”を空港まで、
全力でお護りいたします!」
ちょうど退室してきた俊さまに、
護衛官3名が軍隊式の敬礼を捧げる。
俊さまは満面の笑顔で応じた。
屈強な男たちも気持ちのいい笑顔を返した。
“俊さま”はやめてくれないかナァ〜。
恥ずかしいし、私だけの呼び方なんだから。
「たいちょ〜」
「はい?
なんです?」
「一诺は、とししゃまのみかた。
わがなにかけて、しょうがいかけて、ちかう。
しがふたりをわかつまで…なのだにゃ♡」
いや〜〜〜!!
私の俊さまを、これ以上取らないで〜!!!




