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国家運営はもうAI丸投げで良んじゃね?  作者: 八和良寿[Yao Yoroz]
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рукопожатие 〜握手〜 ⑦



大統領は、ギョっとして言葉を切った。



いつの間にか、手を握られていたから…。



握手。



顔を上げた大統領の前には、

満面の笑みを浮かべた俊さまが立って、手を握っていた。


あまりのことに、

わたしも口から心臓が飛び出しそうになった。



「ぼくら、もう友達じゃないですか?


 ぼくには、恥ずかしいほど乏しい

 交友経験しかありませんが、

 まず、相手を信じないと、

 つきあいは始まりませんよ?」



大統領は毒気を抜かれたように、俊さまの手を握り返した。

無意識に…、大切な何かを…、改めて確認するかのように。



握手(ルカパジャーチエ)…」



大統領に続いて握手を求める俊さまの手を、

一诺(イーニュオ)が握り返した。

嬉しそうに、花のように可憐な微笑(ほほえ)みを浮かべて。



握手(ウォーショウ)!」



だが、せっかくの友好ムードをぶち壊すかのように、

剣呑な声が割り込んだ。



「あ、あきれた…

 この場を、この状況を…

 し、四面楚歌だと思わなかったって言うのっ!?」



声の主はリリューシャだった。


誰もが軽く驚くほどの剣幕で、

瞳に薄く涙を浮かべていた。



「親善使節なんで、

 仲良くする事しか考えてないよ、ぼく。


 それにもう、君も友達でしょ?

 リリューシャ。

 違うの?」


「そ、そうだけど…

 ここは…ひっく!

 が、学校の教室じゃないのよっ!」



リリューシャは、とうとう泣き出した。


そこにいた全員、気が抜けて、

何か(ほう)けたようになった。


猛者たちも、大統領も、

百戦錬磨の敵将でさえも。



「恐れ入ったな。

 君には… 敵が居ないのかい?」


「敵?

 いませんねぇ。

 仲悪い人くらいはいますけど…」



俊さまは護衛官(SP)たちに向き直り、

頭を下げて言った。



「護衛官の皆さんも。

 この場を護ってくれてありがとうございます!」


「へ、平和ボケにも程がありますっ!

 なぎさまっ!

 し、死んじゃったらどうする気なのっ!?」



リリューシャが嗚咽(おえつ)しながら言った。


キツい表情と涙が、美しさを一層引き立てる。

でも、言葉にはどこか甘えた響きがあった。



先に言われてしまった。


ああっ!

胸に飛び込んで泣いちゃって…

それ、私の役どころなのに!



「へ? なんで?」



本当にキョトンとして聞き返す俊さまに、

リリューシャは呆気に取られていた。

胸の中で。



ホントに、貴方らしい…


らしすぎて笑っちゃう。


ときどき心配で死にそうになるけど。




***




「これが“天然”か…。

 噂には聞いていたが、聞きしに勝るな。

 これが日本人というものか?」


「日本人の名誉のために言うと、

 ここまでの“天然”は、日本人にも珍しいですよ」



大統領の驚愕ぶりに、

タッキーが破顔した。



「いずれにせよ、

 彼の真似は私にはできません。


 どれほど素晴らしい提案でも、

 握手ひとつに(かな)わない事はありますから」



「格技には自信あったのだが、

 ああも鮮やかに懐に飛び込まれるとは。

 それが、友として握手を求めての行動だとは…

 まったく…驚いた。初めての経験だ。


 これが本当の“無敵”という訳か」



「逸材というか…

 私の化身(リアルアバター)は、

 もう彼以外、考えられないほど…」




大統領は思った。


敵に断固立ち向かう用意に怠りはなかったが、

まったく敵意もなく、純粋に友好を結びたいとの好意には

用意がなかった、不覚にも。


こうなると、ただ…

ひとりの人間として対する他なかった。

大国の大統領ではなく。


“北”の指導者…

かれはどうだろうか?

この“無敵”に対したら。




「フッ…」



何というか…

子どもに一本取られたかのような(おもむき)で、

気まずさと微笑ましさを微笑に(たた)え、

大統領は言った。



「人払いを。

 3人で話したい」



双方の護衛官と市長は退出した。

それを確かめてから大統領は言った。




「…了解した。

 “条約”の件、受けよう。

 “北”の問題は日本に、預ける事にする」



一诺(イーニュオ)も無言で(うなづ)き、

いくつかのやり取りで、二国間秘密条約がふたつ

“締結”された事を見極めると、席を立った。


ナギりんへ可憐な笑顔を送りながら。



ナギりんの笑顔が、ひときわ明るくなった。




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