рукопожатие 〜握手〜 ⑥
「取引相手とは戦わない方がいいに決まっている。
なのに、心の底ではどうしても信用できない…
それが当然だ。
そう思っていた、ずっと」
大統領がぽつりと呟き、
そして続けた。
「北領での取り組みを、貴国に持ちかけられた時は、
正直、信じられなかった。
裏の魂胆を疑いさえした。
何よりもまず、良好な協力関係を目指して行動する。
そのために二国間の領土問題を棚上げ、共有するなど、
あり得ない、考えられない譲歩だと。
しかし…」
後を引き継いだのは市長だった。
「初めてみれば、信じられないほど上手く行った。
今となっては、他の選択肢など考えられないほどに」
「“損して得取れ”…
我が国、先達の知恵です」
タッキーが受ける。
市長は苦笑した。
「共同統治の結果、我々の恩恵も計り知れない。
当方住民の信頼感はうなぎ登り…
我々だけの統治では到底望めない。
今や、そちらが統治しているようなものだろう…」
「それは誉めすぎでしょう…が、
“北”でもそうなるよう最大限の努力を約束します。
もちろん…」
タッキーが受け、続ける。
「立場上、米国の顔を潰すわけには行きませんので、
秘密裏に。
言うまでもなく、ご両国への迷惑が最小限になるよう、
鋭意努力いたします。
お願いしたいのは…
我々が“北”に噂を流した後、
それを質された時に、否定しないで頂きたい。
肯定する必要もありません」
「ふむ…
交渉の前準備は、それで十分だと?」
と大統領。
「たぶんそれで、世界中を巻き込んだ禁輸制裁よりも
“北”を揺さぶれるのではないでしょうか?」
「たしかに」
と一诺。
「だが…先ほども言ったように、
四面楚歌で正気を失ってるかも知れん相手に、
果たして通よ…」
そこまで言った大統領は、ギョっとして言葉を切った。
信じられない!
俊さまっ!




