35/68
7-4
伊邪那岐は、左の御美豆良に刺していた湯津津間櫛の御柱の一つ取り欠き、火を灯して闇に包まれていたその部屋の中を覗き込んだのだった……するとそこに視えたものは……
※美豆良:美しい頭髪
※湯津津間櫛:湯包櫛
伊邪那美は、宇士多加礼許呂呂岐弖【ウジがたかりぐちゃぐちゃになり】、その身体は八つの恐霊と化していたのであった。
そのそれぞれの名は、
頭は大雷
胸は火雷
腹は黒雷
陰所は拆雷
左手は若雷
右手は土雷
左足は鳴雷
右足は伏雷
と言う。
【注釈:これは夜に火を無駄に灯すことや髪を櫛で撫ぐことが良くないと言われることの理由である】
※この注釈は日本書紀の書かれた当時に行儀が悪いとされていた作法を伝えている。