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相棒が現代の乗り物に変形できる【万乗ビークル】でした!~剣と魔法の異世界で、今日は何に乗ってどこへ行く?~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第6話 異世界の景色


「それにしても自然が溢れるいい景色だな~」


 トリアルの街を出発し、目的にしている村を目指す。


 マウンテンバイクに変形したノアに乗りながら異世界の道を走っているのだが、青い空にまばらな白い雲が浮かび、一面に緑色の草原が広がっている。一度風が吹けば、草原が波打ち、緑色の草が同じ方向へとなびいていく。草原の奥には山脈が広がっていた。


『マスターの世界ではこういった景色は見られないのですか?』


「そうだな。俺の世界だと開発が進んで、どこもかしこも高い建物が並んでいたり、人工物が多いんだよ。ここまで自然豊かな景色が見られる場所は少ないんだ」


 前世ではいろんな場所へ旅行したことのある俺だが、特に日本でここまで広大な自然をみられる場所なんて北海道くらいである。日本中どこも家や電線やコンクリートの道路などがあり、自然そのままの姿が残っている場所はほとんどない。


 昨日も一時間以上この景色をマウンテンバイクで走ってきたが、飽きることはなかった。都会で暮らしていると、こうした自然溢れる道を走るのはとても楽しい。それにひとりで走るのではなく、話し相手であるノアが一緒にいてくれるのはありがたい。


「そういえば、この道は誰も通らないんだな?」


『目的地であるナシノム村も大きな村ではありませんからね。行商人の馬車が月に数回通るくらいだと思います。大きな街へ繋がる道はそこそこ人通りが多いと思います』


「なるほど。そういう道を通る時は道から少し離れた場所を走った方が良さそうだな」


『そうですね。マスターはあまり目立たないことを望んでおりますので、それが良いかもしれません。なにかあれば私を魔道具として説明してください』


「ああ、そうしよう」


 俺の第一目標は目立たずのんびりと異世界を旅したいだからな。あまり目立つことは避けたい。幸いこの世界には魔道具という魔法の力を持った道具があるらしいので、誰かにノアを見られた場合は魔道具ということで押し通すとしよう。


 ただ自転車くらいなら大丈夫だと思うが、もっと大きな乗り物を魔道具で押し通せるかは少し疑問だ。魔道具はそれなりに高価なこともあって、トリアルの街には大きな魔道具屋はなかった。他の街に行ってみたら、ぜひどんなものが置いているのか確認したいところだ。


「そういえばノアのナビはどれくらいの距離までわかるんだ?」


『マスターを中心として約50キロメートルにある村や街などを表示できます。また、一度通った道であれば再度表示が可能でナビもできます』


「それはありがたいな」


 ノアが俺の目の前に出している半透明のウインドウを操作して、画面を拡大したり、縮小したりする。音声でもナビしてくれるし、周囲の地図を映し出せるのだから、実はこのナビだけでも結構なチート能力ではと思ってしまう。


 ナビを書き写すだけで正確な地図ができてしまうからな。……地図はいろいろと悪用できるし、俺にそんな能力があるとバレれば面倒になることは間違いないからしないが。


「うわっ、なんだ!?」


 そんな話をノアとしていると、目の前の道に突然なにかが飛び出してきた。


 慌てて急ブレーキをしてマウンテンバイクを止める。


「……こいつはスライムか?」


 道の先には直径50センチメートルほどの青くて半透明でプルプルと震えているゼリー状のなにかがあった。ゆっくりとだが少しずつ動いている。


『はい、魔物のスライムのようです。人体に害はなく、ゴミなどを消化する益獣となります』


「なるほど、人に害はない魔物もいるんだな」


 ノアのデータにスライムはあったようで、俺に説明をしてくれる。どうやら危険な魔物ではないらしい。


「……女性を襲ったり、服を溶かしたりする消化液はないんだな?」


『はい、スライムの消化液で人体や服の繊維などは溶かせません。マスターの世界のスライムはそのような能力を持っているのですね』


「いや、俺の世界にスライムは存在しないよ」


『そうなのですね』


 存在するとすれば叡智な本の中だけである。どこかの世界にはあの服だけを溶かす謎の消化液が存在すると俺は信じているぞ!


「危険がないなら少しだけ触っても大丈夫かな?」


『はい、問題ないです』


「……おおっ、なんとも言えない感触で気持ちがいいな!」


 危険な魔物ではないらしいので、ゆっくりと道を進むスライムに手で触れる。プルプルとした感触で少しヒンヤリとしていて触り心地が良い。


 なんだかとても癒されるなあ。もしも異世界でペットを飼うのならスライムが良いかもしれない。


 そんな魔物との出会いがありつつも、先を進んでナシノム村を目指した。




『マスター、30ポイントが貯まりました』


「はあ……はあ……ようやく貯まったか」


 走り続けること2時間近く、ようやく昨日と合わせて30ポイントが貯まったらしい。


 マウンテンバイクのスピードはもっと出せるのだが、大きな石や障害物も多く、道中で遭遇したスライムのように魔物も存在するので安全運転で走ってきた。あと少しで目的地に到着するところだが、先にポイントの方が貯まったらしい。


 前世でもあまり運動はしてこなかったので、2時間自転車で走っただけでくたくたである。


「よし、ウインドウを操作してと――」


 半透明のウインドウを操作して、リストから目的の原付を選択する。一度ウインドウにタッチすると、ちゃんと確認のための表示が出てきたので、そのまま【はい】を押した。


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