魔法の街 旅日記 ―つながりの魔法―
今日は、前から気になっていた「魔法の街」に行ってきた。ここはもともと資源の乏しい土地で、発展のために目をつけたのが“魔法”だったそうだ。さまざまな種族から魔法が得意な者たちを招き、誰でも簡単に使える魔法を研究したけれど、最初は失敗続きで、まるで夢物語だと思われていたらしい。それでも諦めずに、みんなが自分にできることを持ち寄って支え合い、ついには生活の中に自然と魔法が溶け込むようになったのだという。
街を歩けば、光るポーションや見たことのない果実が並び、杖から光が「びゅんっ」と走る光景に目がまんまるになりっぱなしだった。市場では、走りが速くなるものや力が強くなるものなど、色んなポーションがあった。試しに「美味しいポーションください」とお願いして買って飲んでみたけれど、味はなんとも奇妙。店の人に「美味しくなかったです」と正直に伝えたら、「食べた物の味が好きな食べ物の味に変わるポーション」だと教えられ、未知の味探検は見事に撃沈。
気を取り直してカフェに入ると、メニューは初めて見るものばかりで試しにメニューの端に小さく載っていたものを注文してみた。たぶんこういうのがきっと裏メニュー的な何かだと思う。注文したパンとココアが、羽の生えたお盆に乗ってふわりと飛んできた!パンは好みの味で美味しく食べていたけれど、隣の魔法使いさんが「それ、本当においしいの?」と笑いながら声をかけてきた。どうやらこのジョズの実のパンは独特の渋みがあって不人気メニューらしい。ふとさっき飲んだポーションのことを思い出しそのことを話したら「そのパンの本当の味、知りたい?」と聞かれてポーションの効果を解いてもらった。元の味は口の中がしびれるほど渋くて、慌ててココアを飲んだら今度は無糖でさらに苦い!魔法使いさんが見かねておすすめのメニューを教えてくれて、改めて食べたパンはすごく美味しかった。
その魔法使いさんは異世界観光が趣味だそうで、この街にも何度か来たことがあるとのこと。話すうちに、初めての“旅行仲間”になれた気がした。彼女が教えてくれたのは、この街で一番大切にされているのは魔法そのものよりも、魔法を作り上げた種族を超えた「つながり」だということ。エルフも小人も獣人も、みんなを「いい隣人」として認め合い、支え合っているからこそ、この街はこんなにもあたたかい。
魔法は便利で華やかだ。でも、それ以上に輝いて見えたのは、この街を作り上げてきた人と人との結びつきだった。きっとこの街が教えてくれた一番の魔法は「つながり」なんだと思う。旅ってやっぱりいいなあ。
サビ猫さんの「魔法の街」観光Vlog
https://youtube.com/shorts/Qr9PwHUiAOU