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鬼の島 旅日記 ―思い込みの向こう側―

今日はついに、あの「鬼ノ島」に足…じゃなかった、肉球を踏み入れた。名前からしてちょっと怖そうで、出発前は「絶対に怖い鬼が出てくるに違いない」とヒゲをぴんと立てていた。でも、港に着いた瞬間にそれがただの思い込みだったって気づいた。


鬼ノ島へは、鬼ノ島行きの交易船に乗ってやってきた。船を降りると、体よりも大きな荷物を軽々と担ぐ鬼たちの姿にまずびっくり。荷物がまるで空箱のように軽そうに見えた。港をきょろきょろしていたら、迷子かと思ったのか大きな鬼のおじさんが「大丈夫か?」と声をかけてくれた。「観光に来たんだ」と答えると、「遠くまでよく来たな」と驚きつつも笑顔で歓迎してくれた。


観光案内所によると、この鬼ノ島には鬼の中でも他種族に友好的な鬼が集まっており、鬼にしては珍しく広く交易も行っているらしい。でも、ほかの地域には他種族を快く思わない鬼もいるらしく、治安の関係からも観光はここだけにしておくのが無難と教えてもらった。


街へ足を踏み入れると、木造の家々が並び、あちこちから人々(いや、鬼々?)の活気ある声が響く。鬼の島に来た記念に動画を撮りながら街を歩いていると、2体の鬼が「何をしているの?」と話しかけてきた。旅の思い出をカメラで映像に残していること、そして初めて来た鬼ノ島があまりに素敵で出会った鬼さんたちみんな親切で優しかったと伝えると、2体の鬼は少し照れくさそうに笑い、おすすめの食事処を教えてくれた。


紹介されたお店に入ると、店内は鬼たちで大賑わい。テーブルには山盛りの肉料理。メニューを見るとどれもお肉ばかり。出てきた焼きたてのお肉は噛み応えがあってジューシーだったけれど、顎が少し疲れてしまった。鬼さんたちは大きな口で食べるから、あの硬さがちょうどいいのかもしれない。お店の鬼さんが気を使ってお店で1番小さいお皿と柔らかいお肉を選んでくれたけれど全てがサビ猫にはふた回りぐらい大きくて湯のみは両前足で抱えないと持てなかった。


夜になると、通りにはどこからともなく屋台が現れ、普通の通りが一気に飲み屋街へと様変わり。鬼たちはお酒が大好きらしく、男女関係なく陽気に杯を交わしていた。通りをうろうろしていると、「楽しんでるか?」「一緒に飲もうぜ!」と声をかけてくれる鬼もいて、みんなにつられて自然と気分が陽気になった。


夜風に揺れる提灯が猫じゃらしみたいでカメラで撮っていたら、近くにいた赤鬼さんが「もっと面白いもん撮らせてやる」と腕相撲を始めてくれた。普通の腕相撲のはずなのに迫力満点で、周囲の鬼たちも集まってきて、気づけば腕相撲大会からの大乱闘に!あまりの迫力にしっぽの毛がずっと逆だったままになったけれど、どうやら鬼さんたちにとってはあの乱闘はただのじゃれあいに過ぎないらしい。


鬼さんたちは想像をはるかに超えて、気さくで優しかった。ふと、昔どこかで読んだ言葉が頭に浮かぶ。

『世界は一冊の本、旅をしない人はその一ページしか読まない』


まさにその通りだ。見た目や噂で決めつける前に、自分の目と耳とヒゲで感じたことを信じるのが一番大事。今日の旅でそのことを改めて実感した。やっぱり、旅っていいなあ。



サビ猫さんの「鬼ノ島」観光Vlog

https://youtube.com/shorts/EQhFChVtZoo

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