ダンジョンちゃん登場!
ヒロイン登場!
ダンジョンも作り始めます!
気がつくと狭く暗い場所にいる、教室ほどの広さで中心には手に収まるほどの小さな球体が浮かんでいる。
コモリはここが俺の砦、「ダンジョン」であると理解した。
「んで、球に触れれば話が進むのか?」
部屋の中心に浮かぶ球体に触れたところ、どこからともなく声が聞こえてくる。
「ダンジョンアドバイザーを生成します、しばらくお待ちください」
「おぉ、アドバイザーは可愛い女の子で頼むぜ」
このゲームではダンジョンの運営を手助けするためにプレイヤーごとにアドバイザーを用意してくれる、アドバイザーというのは本当に多様で人型やケモみみっ子、ロボ型からスマホ型、中には音声のみなど色々な種類がありアドバイザーガチャとして知られている。
光の塊が人型になり徐々に姿を現す、コモリは望み通りに進んでいるようで一安心していたのだが……
「んん?なんかちっちゃくないか?」
コモリの想像とは少し違ったらしい。
現れたのは少女だった、宙に浮かんでいるので分かりずらいが身長は140cmほどだろうか、顔は少し不機嫌なのだが可愛いと思ってしまう造形をしている、衣服は民族衣装だろうか落ち着いた色合いの布に不思議な模様がついている、ところどころ少女には不釣り合いな大きな岩のアクセサリをしている。
「いきなりちっちゃいなんて失礼ね!」
「すまんかった」
いきなりやっちまった、がとりあえず許してくれるらしい、心が広いようで助かるぜ。
「あんたがこのダンジョンのマスタかしら?」
「そうだ、俺はコモリだ……お前名前はなんていうんだ?」
「あたしに名前はないわよ、好きに呼んでちょうだい」
「なら……ダンジョンちゃんだ!よろしく」
「ダンジョンちゃん?……それが名前かしら?!ちゃんとした名前つけてくださる!」
「いやーこれ以上いい名前思いつかないなー」
「わーー」「やーー」・・・
◇ ◇ ◇
そこからしばらく二人で言い合っていたのだが今はお互い疲れて床で寝ている。
やったぜ、ダンジョンちゃんの名前はダンジョンちゃんに決まったのだ。
「そろそろゲーム始めようぜ」
「そうね、ダンジョンの説明してあげるわ、そこに座りなさい」
ここにきてやっとゲームの説明が始まる、ダンジョンちゃんはどこから取り出したのかメガネをして黒板の前に浮かんでいる。
目の前に学校の机と椅子が並べられている、ここに座れということだろうか。
「まずマスターにはチュートリアルをこなしながらダンジョンを作ってもらうわ、一般的な冒険者や勇者パーティーなんかもくるわよ、結構手強いから頑張るのね」
「おう」
「チュートリアルで立派なダンジョンを作ったらいよいよ本番よ、ダンジョンを公開するの、ここからは油断しちゃダメよ!ダンジョンが攻略されたらもう元には戻せないわ、いわゆるでーた削除よ」
「……セーブはできないのか?」
「残念だけどないわ、アカウントから作り直してもらわないとね……だからこそチュートリアルでぜったいに攻略できないダンジョンを作るのよ!」
「おう、任せとけ!」
今時のゲームでは珍しいセーブもできない不親切設計らしい、まあ攻略されなければいいって話だろ、何も問題はない。
「チュートリアルで一番最初にやってくるのはダンジョン調査隊よ、調査隊の撃退がダンジョンマスターの初のお仕事になるわね」
「調査隊を撃退できるダンジョンを作ればいいって話か」
「そうね、調査隊はダンジョンに詳しくて、できる限り多くの情報を持ち帰ることを目的としているわ、持ち帰った情報はダンジョンの攻略に使われるから注意しなさい」
「なるほど、入り口付近でぱぱっとお帰りいただくか、あるいは知られても対策しずらいダンジョンを作るかだな」
「さっそく考えているようでなりよりだわ、やる気があるみたいだしダンジョン作っていきましょ」
◇ ◇ ◇
ダンジョンちゃんがダンジョンの作り方を教えてくれる。
「そうね、通路はそうやって作るのよ、部屋もおんなじように作れるわ」
「結構簡単に設置できるんだな、もっと細かく設定はできねぇのか?」
「もちろんできるわよ、設置した通路を選択してごらん、通路の見た目も変更できるわ」
平面にブロックを並べていくイメージでダンジョンができていく、楽しくて夢中になり気がつけば立派な迷路が出来上がっていた。
少し待たせてしまったがダンジョンちゃんはその間じーっとこちらを見ていたようだ。
「ふう、なかなかいいんじゃないか?なあダンジョンちゃん」
「できたのね、じゃあ次はトラップとモンスターを置いていきましょ」
「おし、じゃあバンバントラップを仕掛けていきますか」
「あ、トラップとモンスターには維持費があるからあんまりたくさん置けないわよ」
「……ん?……え!?」
いきなり失敗したか?迷路みたいな広いダンジョンを作っても設置できるトラップに限りがあるならただの迷路では?調査隊とやらにマッピングされたら終わりだ。
それならトラップまみれの一本道の方が強いのでは?
「ん?どうしたかしら?」
ダンジョンちゃんに悩みを見通されたようなので思ったことを説明する。
「確かにそうね、マッピングされたら迷路は弱いわ、でも時間を稼ぐことはできるわ」
どうやらダンジョンマスターはどれだけ侵入者を足止めできるかが重要らしい、チュートリアルが終わった後の話だが毎日DPなるゲーム内通貨が貰えるらしく、その額はより長く攻略されずに存在しているダンジョンほど多く貰えるとのこと。
「DPがいっぱいあればもっとダンジョンを強くできるわ、だから時間稼ぎはだいじなの」
「なるほどね、侵入者はダンジョンの情報を持ち帰って賢くなる、俺は増えたDPで迎え打つ、って訳だ」
「そうよ、迷路だったら「動く壁」や「スタミナ消費増加ゾーン」なんかを合わせる方法もあるわ、作った迷路は無駄にならないわよ」
ダンジョンの作りなおしはしなくていいらしい、俺のダンジョンは迷宮を中心に作っていくぜ。
「おっしゃー!インスピレーション湧いてきたぜー!ダンジョンちゃん楽しみにしてな」
「はいはい、楽しみに待ってるわ」
コモリはチュートリアル攻略に向けダンジョンを作っていった。
ヒロインはつるぺた属性です。
なんでって?つるぺたが日本の一般性癖だからです!(○Lsite調べ)
次回、ダンジョン内覧会、お楽しみに。