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ソロモンどうする会議

 空中に投影される画面はステラの思い通りに動いている。


「先ず、ソロモンは現在指輪の形をしている可能性が高いです」


「指輪、か」


「はい。国のデータベースから例の悪魔召喚者の聴取内容を確認しました」


「……待て、何やってるんだお前」


 思わず尋ねると、ステラは不思議そうに淡く発光した。


「犯罪じゃないのか、普通に」


「はい」


 いや、はいじゃないが。


「犯罪は、良くないぞ」


「法律なんかに躊躇することで失われる命が増える方が良くないかと」


 俺は思わず黙り込んだ。


「……バレるなよ」


「イエス、マスター」


 勝ち誇るように輝いたステラに俺は何も言えずカラスを見ると、カラスはどうでも良さげにしていた。だが、メイアは少し不機嫌そうにしている。


「ステラ。貴方、自分の主に対する敬意が足りないんじゃないかしら」


「そのようなことはありません。敬愛していますよ」


 ステラの本体を睨みつけるメイア、二人の間にカラスがとことこと歩いて翼を広げた。


「おーい、お前ら喧嘩はよせよ。会議だろ?」


「あぁ、喧嘩は無しで頼む」


 俺がカラスに賛同すると、メイアはぷいとステラから視線を逸らした。


「それでは、話を続けます」


 空中に浮かぶ画面に、明らかにフリー素材のような指輪の絵が投影される。


「ソロモンですが、黄金色に輝く真鍮と銀で作られた指輪に封印されている状態にあるようです。ですが、その思念や意思、若しくは憑依体は既に自由に動ける域にある可能性が高いと」


 このチープな指輪の絵を見ながら聞くと、全く危機感を感じないな。


「その指輪さえ見つければ、ソロモンの復活を完全に阻止できる筈です。ソロモンの魔力を既に把握している以上、それは不可能ではありません」


「確かにな。ただ、言っておくがアレがソロモンの魔力だったという確証は無いぞ」


「ですが、その類の勘が外れたことは無いのでしょう?」


「まぁ、そうだな」


 しかし、指輪か。


「どうやって探すんだ?」


「使い魔を大量に作成し、ローラー作戦を行いましょう」


 気が乗らないな。


「成功する確証も無い上に、リスクが大きすぎる。流石に、そんなに沢山作ったらバレるぞ。それに、この世界のパワーバランスを崩しかねないことはやりたくない」


「どうしてもですか?」


「あぁ、どうしてもだ」


 ステラはチカチカと点滅する。


「……分かりました。確かに、魔力を完全に隠蔽されているか、そもそも亜空間に保存されているような場合は見つけ出すことも難しいですからね」


「そうだな。だが、そう考えるとどうやっても見つけ出せない気がしてきたんだが」


 相手はソロモンだ。既に、かなりの魔術の使い手であることは分かっている。ステラが言ったような対策をされている可能性は低くない。


「聖剣を抜く気はありませんか?」


「無い」


 取り付く島もないように、俺は拒絶した。これに関しては、絶対だ。最後の最後まで抜く気は無い。というか、可能なら死ぬまで抜く気は無い。


「であれば、指輪の捜索は消極的に行うしかないですね。次は、ソロモンが完全復活した場合の対処について話しましょう」


「あぁ、それは大事だな」


 出現して数分で日本壊滅とか、シャレにならないからな。


「先ず、カラスさんのネットワークはもっと広げておくべきかと。具体的には、日本全域です」


「俺は、全然構わねぇが。寧ろ、群れがデカくなるのは嬉しいことだな」


 カラスの視線が俺に向く。


「そうだな……日本のカラス全部を群れにするなんてのは流石に良くないと思うが」


「まぁ、日本全土に影響力を広げるって程度にしとけば良いな。どっちにしろ、俺じゃ日本のカラス全員をコントロールするなんて無理だしよ」


 そうだな。カラスは離れていても群れの仲間の声を聞くことが出来るが、全員を支配している訳ではない。ただ、群れの長なだけだ。全員がカラスがボスであるメリットを享受できる訳では無いだろう。


「そして、メイアさんも血の奴隷を積極的に増やすべきでは無いでしょうか。ネズミ等で構いませんので」


「難しいわ。余りやりすぎると、他の吸血鬼に目を付けられるもの」


 吸血鬼は目立つと他の吸血鬼達に殺されるらしいからな。


「少なくとも、どこで復活するかくらいは予め特定出来ておかないと不味いんですが……それと、復活する日時も出来れば把握しておきたいです」


「そうだな……場所と日時、せめてそのどちらかくらいは割れていないと対策も難しい」


 とはいえ、それを調査するのが難しいという話なんだが。


「占星術の類いはかなり苦手だからな……」


 それに、相性が悪いというのもある。


「なぁ、あの陰陽師の奴に頼って見たらどうだ? ソロモンの魔力さえ共有すれば何とか占ってくれるんじゃないか?」


「……ナシじゃないな」


 蘆屋か。確かに、占いはアイツら陰陽師の本領だ。任せてみるのも良いかも知れない。


「蘆屋干炉、確かに可能性はありますね。私は出来ることは全てやるべきだと考えているので、問題が無ければやりましょう」


「あぁ」


 それに、ソロモンの情報を手に入れたら共有する約束もしてるからな。


「では、次に実際に復活が成立した際の……」


 そうして、会議は順調に進んで行った。

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