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門人試合、一試合目。

 一分前に会場に着いた俺は、慌てて控え室まで案内された。これから式符の確認とか色々あるらしいが、実のところ俺はまだ式神を作り終えていない。正確には、雑に作った二体と取って置きの一体しか居ない訳だ。それも特に理由があった訳では無く、ただ何も思いついてなかったからだ。


「良し」


 何だが、俺は今からそれを作るつもりだ。式符の確認が来るまでにどれくらいの時間があるか分からないが、まぁ間に合うことを祈ろう。


「一体は……そんままでも良いか」


 一体だけ作れば良いだろう。アイデアは、既にあるからな。


(あの結界、解析出来て良かったな)


 これで、相手の術を見るという俺の目的に沿った式神が作れる筈だ。




 ♢




 という訳で、俺は三体の式神と十二枚の式符をこさえて会場に……フィールドに立っている。と言っても、野球スタジアムのような現代的な建築という訳でも無い。どちらかと言えば、コロッセオ的な感じだ。

 平たく整地されただけの地面はかなり広く、端から端までで百メートル程度ある程だ。そのフィールドを階段状の観客席が囲んでいるという形だ。だが、見たところこの観客席は後から作られた物のようだ。


「ハハハッ! 待っていたぞ、この時を……! 如何に結界術に優れた術士と言えど、式符を三枚も奪われては敵わんだろ!」


「良いから、手出せ」


 互いに握手し、頭を下げなければ勝負は始まらない。これは、礼儀としてもそうだが、相手が予め術を使っていないかを確認できる場でもある筈だ。

 因みに、確認したところ相手は何も使っていなかった。


「負けても恨むなよ、ハンター」


「心配は無用だ」


 負けることも、恨むことも無いからな。


「西! 寺麻(てらま) 楊印(よういん)! 東! 老日 勇!」


 俺達は距離を取り、予めマークが刻まれている場所に立つ。


「両者、用意……はじめッ!」


「『式神召喚』! 『罅隙(カゲキ)』ッ!」


 式符が三枚宙を舞うと、楊印と呼ばれた男の正面に一体の妖怪が現れる。顔面の中心に黒い線が入った猫背の怪物で、使役されている式神のようだ。


「行けッ、奴を殺せ!」


 続けて二体の式神が召喚され、罅隙と並んでこちらに襲い掛かる。一体は緑の面をした鬼のような式神で、残りの一体は浮遊する岩で出来た傘だ。


「『式神召喚』」


 俺は式符を一枚取り出し、そこから式神を召喚した。シンプルな筋骨隆々の鬼の式神だ。


「先ずは、こいつで相手してやる」


 続けて、俺は自身に直接刻まれた術式に意識を向けた。


「戦闘術式、天式」


 その様子を、この解析特化形態で見てやろう。

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