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それぞれの末路

 黒髪の男を適当な異界まで拉致った俺は、じっくりと記憶を見させて貰うことにした。


「ここ、は……」


「異界だ。今からアンタの記憶を見るところだな」


 目を覚ました男は体を動かそうとするが、拘束されていて出来ない。


「く、そ……こうなったらッ!」


 詰んだ状況を察した男は即座に体の中に仕込まれていた爆弾を起動しようとしたが、何も起こらない。それもその筈だ。


「爆弾は既に無効化してある。自爆は諦めろ」


「いつの間に……」


 俺は男の額に手を当て、再び気絶させた後に記憶を覗き見た。


「天能連……こいつは、そこそこ下っ端だな」


 分かってはいたが、幹部クラスでは無いらしい。ただ、異能を使える戦闘員として地位が低い訳でも無い。

 能力は素材を元に生物を作り出す『生物作成』で、コードネームはプローデ。相方だったプロージの能力は『爆弾作成』で、生み出した生物に爆弾を詰め込んで特攻させるのがこいつらの得意戦法だったらしい。

 実際、あの鳥の中に入ってた爆弾の威力は凄かったからな。あのまま家の中で爆発していればマンションが崩壊していただろう。


「組織の目的は……不透明だな」


 大雑把に組織の拡大が目的であるとされているが、その先のことは見えてこない。それでも、下っ端のこいつらからすれば構わなかったのかも知れないが。


「黒い仮面、か」


 こいつの直属の上司は『千里眼』の異能を持つボヤン。黒い仮面とか言う幹部達の一人に最近昇格したらしい。他のメンバーは『切断』の異能を持つレンドに『火炎』の異能を持つブレイズ……色々いるが、ボスであるディセーブルの異能は『無効』みたいだな。


「アジトの位置も分かった。かなり、良い情報は得られたな」


 問題はここからどうするか、だ。全員殺しに行くのか、それとも他の手段を取るのか。


「いや」


 気絶している怪物使いの男を見て、一つ思いついた。


「やり返すか」


 敵の本拠地も分かっていて、尚且つニオス程の強さは無い。となれば、だ。


「『完全なる支配コンプリート・コントロール』」


 雑だが、偽装もしておこう。俺は男を魔力で起こし、立ち上がらせた。


「なん、だ……これ……」


「折角お誂え向きの奴を捕まえたからな……アンタが、笛吹き男だ」


 怪物使いとして、罪を被って貰おう。






 ♦




 取り調べ室で金髪の男を囲むのは、俺と白雪と章野だ。


「ほら、キビキビ吐いて貰うっすよ」


「ハッ、吐く訳ねぇっしょ」


 そういう態度っすか。


「じゃあリーダー、記憶読みますね!」


「……良いっすよ。ただ、その内容を俺以外に口外するのは禁止っす」


 老日勇との契約は誰にも話すな、白雪が金髪の記憶から老日のことを知る分には禁じられてないっす。


「え、えぇッ! これ、いさ――――」


 俺は白雪の頭を叩き、喋るのを止めた。


「白雪、上司『命令』っす」


「ッ! 分かったよ……」


 見てから話すまでの速度が異次元っすね。流石は白雪っす。


「ただ、今口に出そうとした人以外の内容なら話しても良いっすよ」


「うんうん、任せて!」


「僕、もしかして居ない方が良いですかね?」


 自分が邪魔になってると思ったのか、章野が席を立とうとする。


「なぁ、おい……プローデはどこ行ったんだよ?」


「プローデ? あぁ、黒髪の方っすか?」


 金髪の男は怒りの表情で俺を睨みつけた。


「そうだよ。老日勇が連れてったんだろ? まさか、殺されてねぇよなァ!?」


 アイツ、やったっすね。


「……ど、どうする!? 本人が話しちゃったけど!」


「もう手遅れなんで、章野も聞くっす」


 まさかとは思ったっすけど、こいつらには何も口止めとかしてないんすね……隠す気があるのか無いのか分かんないっすよ。


「はっきり言うっすけど、アンタの仲間がどうなってるかは知らないっす」


「ッ、ふざけんなッ! だったら、オレは何も話さねぇだけだ!」


 無駄っすね。


「別に、話さなくても良いっすよ。こいつは記憶を読めるんで、勝手に調べるだけっす」


「ふむふむ、ふむふむふむ……」


 じっくりと記憶を読んでいる白雪。魔眼によるそれは、一瞬で全ての記憶を入手できるものでは無い。だから、そこそこ時間がかかるだろう。


「クソッタレ……」


「まぁ、アンタは簡単には殺されないっすよ。順当に刑を受けるだけっす」


 勿論、終身刑になる可能性は高いっすけどね。

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