表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
232/488

暗躍

 数十分の一の速度まで低下した俺に迫る血の刃。それは現在の俺の速度を超えている。


「燃えろ」


「ふむ」


 だが、こうなることも予測はしていた。迫る血の刃を、黄金色の炎が呑み込み、その刃を溶かし落とす。


「厄介な炎が残ったか……だが、君の命は時間の問題だ」


「えぇ、既に速度は俺達の方が上です。眷属となるのであれば降伏を受け入れます」


 俺は黄金色の炎を纏う刃をニオスに向けた。


「寝言は寝て言え」


 刃の嵐が俺を守るように吹き荒れる。


「ふむ、守りに入る気か?」


「『無限(アンリミテッド)――――」


 魔術を唱えようとしたところに、ニオスが転移で懐まで入り込んだ。


「肉体の操作は頼んだよ、ニオス」


「既に承っています」


 刃の嵐を掻い潜りながら血の剣を振るうニオス。俺が回避した直後に無数の武器が殺到するも、ニオスの体が霧となって武器を避けていく。


「どうですか、老日勇。死の危険を感じていますか?」


「どうだろうな」


 振り下ろされる血の剣。それを刃の嵐が弾き、追撃をかけるようにニオスを追いかけるが、その瞬間にニオスの体が霧となって刃の間を潜り抜ける


「老日勇、お前に詠唱はさせません」


「『血の裁きを受けよクリーシーエイマートス』」


 背後に回り込んだニオスが囁き、俺の体内に干渉される。しかし、戦闘術式によってその干渉は無力化された。


「いつまで耐えきれますか?」


「『紅雷(レッドスプライト)』」


 振り下ろされる剣を刃の嵐で弾いた瞬間、空から真っ赤な雷が降り落ちる。当たれば背理の城塞(ゼノン・アルチス)を突破してそのまま俺の体は焼き尽くされるだろう。


「『神玉壁(フラグマ・トゥフェオ)』」


 透明に揺らめく何かが俺の体を覆う。神力の障壁だ。


「……まだそこまでの神力を隠していたか」


「別に、隠しているつもりは無い」


 凄まじいエネルギーを秘めた赤い雷を呆気なく防いだ神力の障壁だが、神力にも限りがある。こうしていられる時間も永遠では無い。

 だが、防戦一方になっても構わない。ついさっき、構わなくなった。


「『無限加速アンリミテッドブースト』」


 神力の障壁に守られた中で魔術を唱えるが、ニオスは一切の焦りを見せず、寧ろ陰湿な笑みを浮かべていた。


「『神殺しの魔神槍(ドーリ・タサイドン)』」


 どす黒い槍が、刃の嵐を吹き飛ばしながら迫る。それは神力の障壁を容易く粉砕し、そのまま俺の胸を貫こうとする。


「ッ」


 俺はギリギリで何とか黄金の炎を纏う剣を胸元に構え、槍をギリギリでズラした。しかし、完全に弾けていない槍は俺の左肩の辺りを貫き、そのまま左腕を吹き飛ばした。


「終わりだ、老日勇」

「終わりです、人間」


 その直後、目の前にニオスが現れ、血の剣を振り下ろす。



「――――良く耐えてくれた」



 俺の目の前に、褐色の肌の男が現れた。ニオスの血の剣が弾かれ、宙を舞う。


「アンタは……」


「俺はバラカだ。お前も東方と同じ日本人か」


 バラカ。メイアの父親だ。アイツらが解放に成功したらしい。


「馬鹿な……何故だ。ただの使い魔如きに、バラカを奪われただと?」


「勘違いしてるようだが、俺だけじゃねぇ」


 バラカの視線の先、そこには黄金色の長髪に真紅の目を持つ、見目麗しい女が立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おや、圧倒出来なかったか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ